新潟県三条市の花に指定され、まもなく見頃を迎える“ヒメサユリ”。去年は野生のシカによる食害が発生し、ヒメサユリが激減しましたが、今年は対策を万全にしてイベントを迎えています。

■“ヒメサユリ”群生地の周りには電気柵が

三条市下田地区森町で5月15日に始まったヒメサユリ祭り。

この地域では、毎年5月ごろにピンク色の花をつけるヒメサユリの群生地があり、例年3000人以上が訪れています。

【記者リポート】
「ヒメサユリの群生地では、まもなく咲きそうなつぼみも見られ、中には可憐な花を咲かせているものもあります。そして、今年はそんなヒメサユリを守ろうと、周囲には電気柵が設置されたということです」

ヒメサユリの群生地を囲うように4月に設置されたのが全長約1kmにわたる電気柵です。そのワケは…

【越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会 熊倉芳和 会長】
「シカが下を見て食べるような仕草で3頭だった。花の甘い香りというか、匂いに釣られるのではないかなと」

■シカによる“食害”でヒメサユリ激減…

電気柵を設置するほどに脅威となっている野生のシカによる食害。それが明らかになったのは去年でした。

【越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会 熊倉芳和 会長】
「確認に来たら、最後の群生地の花が全てなくなっていた。言葉が出なかった。これは何が起きたんだと」

本来、数千本のヒメサユリが咲き誇る群生地のはずが、夜中にシカがヒメサユリの花を食べてしまったため、その数は例年の1割ほどにまで激減。

【観光客】
「去年と比べると花が少ない」

【地元の人】
「もっといっぱい咲いていると思ったが、なくなっていたり、咲いていないものが多々あった」

本来、半月にわたって開催されるはずだったヒメサユリ祭りはわずか5日での打ち切りを余儀なくされました。

【越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会 熊倉芳和 会長】
「私たちも先輩から引き継いだもの。自然を守りながら来客する皆さんから楽しんでもらえる形に持っていきたい」

■市も協力し食害対策!その効果は…

市の花に指定している三条市は、ヒメサユリを守ろうと実行委員会と協力し、対策費として200万円の予算を計上。電気柵のほか、監視カメラや動物の鳴き声が出るスピーカーなどを設置しました。

【越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会 熊倉芳和 会長】
「シカは臆病者だと思われるので、犬の鳴き声とか効果があるのではないかと。これは光も出るので」

5月15日もヒメサユリの一部には食害の跡がみられたものの、対策の効果は表れているようです。

【越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会 熊倉芳和 会長】
「動物が騒いだような跡はない。踏み跡も何もないし、今のところは順調に生育している。電気柵の効果が大きい」

先人たちから受け継がれ、多くの人の手によって守られてきたヒメサユリ。今年の見頃は5月20日ごろで、ヒメサユリ祭りは5月28日まで続きます。

NST新潟総合テレビ
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