2025年も4月から営業が始まった静岡県 田子の浦港の漁協食堂。朝獲れたばかりの新鮮な生シラスを目当てに多くの人でにぎわいを見せていました。
熊崎結萌アナウンサー(2025年4月):
つやつやに輝く生シラスいただきます。きょう獲れたてなだけあってプリプリで鮮度抜群です。そして、噛むたびに甘みがあふれ出して絶品です
しかし、その一方で今ある異変が…。
若山悠介 記者(5月12日):
午前6時半の用宗漁港です。シラスの調査のため次々と船が出港していきます
県内では2025年シラスの不漁が続いていて、ここ用宗港でも5月7日の出漁を最後に漁を見合わせています。
12日は沿岸部から沖合にかけてシラスがどの程度いるのかについて約1時間かけて調査しましたが、漁の再開は先送りが決まりました。
漁師:
全然ダメ、いない。いるのはイワシばかり。自然のことなので誰にもどうすることもできず耐えるしかない
県内7つの漁港における2025年3月から4月までの水揚げ量は前の年の同じ時期と比べて約4割減少。
原因の1つとして考えられているのが黒潮の流れです。
県水産・海洋技術研究所
岡田裕史 上席研究員:
黒潮の流れている位置が県内にカタクチイワシの卵を流し込んでくれるような位置にない。もともと沖合から入ってくるはずのカタクチイワシの卵が入ってこないというのが1つ考えられる
このためスーパーの仕入れにも影響が…。
田子重セナ店・内記寿治 店長:
普段は用宗産のシラス販売しているが2025年は入荷がなく、他県産のシラスを販売している
田子重セナ店で販売しているシラスはそのほとんどが茨城産。
一部は用宗産となっていますが、こちらはすべて2024年に獲れたものだといいます。
また、価格についても例年より1割ほど上げざるを得ない状況です。
田子重セナ店・内記寿治 店長:
仕入れ価格はかなり上昇している。2024年に比べて約2倍近くになっている。来店客に買ってほしいので売価には反映できておらず、安く販売しているのが現状
店内ではシラスを手にとっては商品棚に戻す人の姿や購入するにしても比較的小さなサイズを選ぶ人の姿が目立ちました。
来店客:
高い。違うスーパー行ったら580円と言っていたので「えー」って(Q.手を出しづらい?)そうですね
来店客:
生シラスは食べないが、ゆでたシラスはよく食べるので無くなったらちょっと心配
では、不漁は一体いつまで続くのか?
県によると4月に行った調査では駿河湾で、2024年は見つからなかったカタクチイワシの卵が新たに4000個以上確認されたほか、黒潮の流れも変わりつつあるなど良い兆しも見えているということです。
県水産・海洋技術研究所
岡田裕史 上席研究員:
6月くらいに静岡県内に温かい水が入ってくる流れになる予測も出ているので、少しタイムラグがあるかもしれないがシラスの興隆につながる可能性はある。もう少しの辛抱かなと考えている
清水漁業協同組合用宗支所
増田新 支所長:
(不漁が)このまま1年続くことはないと思うので、情報を気にしてもらってたくさん獲れる時が必ず来ると思うので、待ってもらえたらと思う
用宗港でも5月19日に再び調査を予定していて、好感触が得られれば漁を再開できるよう準備を進めていくということです。