近年、技能実習などで県内に住むベトナム人が増えています。
多くが仏教徒というベトナム人の心の拠り所となっているお寺が射水市にあります。
彼らを支える僧侶の思いとは?
射水市の阿弥陀寺で行われたお釈迦様の誕生を祝う「花まつり」。
ここでは、日本とベトナムの文化を融合して行われ、地元住民や北陸に住むベトナム人、およそ60人が参加しました。
この花まつりを企画した鈴木光直さん。ベトナム出身でこの寺の僧侶です。
*阿弥陀寺 僧侶 鈴木光直さん
「(みんな)喜んでいた。北陸ではここだけ。ベトナム風の法事をするのは」
鈴木さんはベトナム南東部のヴィンロン省出身。
家計を助けるために21年前に研修生、現在の技能実習生として来日。
その後帰国して大学を卒業し、エンジニアとして再び日本の企業に就職し、群馬や愛知でおよそ10年間過ごしました。
子供の頃からお坊さんになる夢を持っていたという鈴木さんの気持ちに火をつけたのは日本でのある出来事でした。
*阿弥陀寺 僧侶 鈴木光直さん
「コロナの時、外国の方が国に帰れなくてお寺を頼った。その時、私もお寺に入ってベトナム人の生活の支援をした。日本のお坊さんの姿も見て、これからお坊さんになろうと思っていたから」
2020年に帰化し、阿弥陀寺の住職がベトナムとの縁があったことから富山へやってきました。
去年、正式に僧侶となり、今は地元の工場で働きながら寺の仕事をしています。
*阿弥陀寺 山本雄毅住職
「彼は感情の起伏が少なく、いつも穏やかに信念をもっているので、今85歳だからやがて彼にバトンタッチしていく。住職に当然なっていただく」
また、ベトナム人の生活のサポートのため、富山に来た3年前から射水市と高岡市で外国人のサポートデスクのボランティアも務めています。
実はこの日は夜勤明け。眠気を払いのけ、電話での調整や窓口での対応に当たります。
花まつり当日。
浄土宗の阿弥陀寺ですが、前日からの準備でこの日ばかりはベトナムスタイルに飾り付けられました。
鈴木さんも袈裟を身にまとい、参拝者を出迎える準備を整えていました。
代表がろうそくと花を持って入場し、花まつりの法要が始まりました。
住職とともに浄土宗のお経をあげたあと、ベトナム式の法要も鈴木さんが中心となって執り行われました。
参加した地域の人たちもいつもとは違う花まつりを楽しんでいました。
*地域の人は
「大変よかった。感動した。お寺はやっぱりにぎやかでないとね、寂しいよね」
*参加したベトナム人は
「楽しかった」
「日本人と一緒に参加して、楽しかった」
法要の後、僧侶も入ってみんなで食事するのがベトナムスタイル。
タケノコのライスヌードルやココナッツもち米など、手作りの精進料理が並び、日本人もベトナム人も一緒に食卓を囲みました。
*阿弥陀寺 僧侶 鈴木光直さん
「やっぱり交流(が大事)。言葉が違うだけ。仏様の教えはほとんど同じ。これからもっと広げたい。日本人もベトナム人もどんな法事でも参加できるように」
鈴木さんは修行を続けながら、阿弥陀寺を日本人も外国人も幸せに過ごせる場所にしたいと考えています。