遮断機や警報機がなく、踏切ではないのに住民らが線路を横断するいわゆる“勝手踏切”。踏切の表示もないため本来は渡ることができません。法律で認められ渡ることができるのは、黄色と黒の踏切標識がある踏切だけです。一方で“勝手踏切”は県内だけでも約230カ所あり、住民が日常的に使っていることもあって全国で事故が相次いでいます。
国土交通省によりますと、遮断機や警報機がなく法的には踏切ではないのに住民らが日常的に線路を横断する“勝手踏切”は、2024年12月時点で全国に1万5553カ所あります。このうち県内では2021年の前回調査より約100カ所減ったものの、依然として225カ所あるとされています。
佐々木拓哉アナウンサー:
「永平寺町のえちぜん鉄道松岡駅付近です。こちらには線路を横断しないでくださいという看板が立てられていますが、実際には線路を渡っていく住民が少なからずいるということです」
永平寺町のえちぜん鉄道、松岡駅ー観音駅間のある場所では、遮断機や警報機がついた踏切があるにもかかわらず、その近くの線路を横断する人がいるということです。近くの住民は「(線路の)反対側に用事があったりするでしょ。そこにバス停があるし。お年寄りとかはシルバーカーを引いているから踏切を通って迂回するけど、若い人は身軽だからさっと渡ってしまう」と現状を話します。
“勝手踏切”を巡っては、2024年4月と10月に広島県で高齢男性が列車と接触して死亡する事故が発生しています。
国土交通省は、事故が多発している事を受けて、全国的に踏切の数を減らしていく方針で、遮断機や警報機のついた踏切の新たな設置は基本的に認めていません。踏切以外の場所では、そもそも列車が通っていなくても線路内に立ち入ることは法律で禁止されています。国土交通省は“勝手踏切”を減らしていくには鉄道事業者の協力が必要としていて、立ち入りを防ぐ柵や注意を呼び掛ける看板の設置を呼びかけています。
県内の鉄道事業者は「危険なので渡らないでほしい」とした上で、注意を促す看板の設置を進めていきたいとしています。
一方で、鉄道事業者だけでは費用や人員の問題で、すべての箇所に対策を講じるのは難しいといった現状もあるそうです。
取り返しのつかない事故が起きないよう、鉄道事業者、自治体、住民それぞれが安全を最優先に考えた対応が求められます。