12日午前10時ごろ、長崎・対馬市にある観音寺では、多くの住民らが今か今かと寺の宝の到着を待ちわびていました。
長崎県の有形文化財だった仏像が窃盗団によって盗まれてから約13年。
12日、ついに寺へと戻ってきたのです。
騒動の始まりは2012年。
韓国人窃盗団が仏像を盗み出したことがきっかけでした。
盗まれたのは、観音寺の仏像「観世音菩薩坐像」。
約600年にわたって地域住民から大事にされ、長崎県の有形文化財にも指定されているものでした。
盗まれた翌年に、韓国内に仏像があることが判明。
日本側は返還を求めましたが、韓国中部にあるソサン市の浮石寺が「元々は自分たちのものだ」などと所有権を主張。
その後、法廷闘争に発展し、2017年には韓国・浮石寺への引き渡しを命ずる1審判決が下されました。
しかし、2023年には高裁と最高裁いずれもが浮石寺側の訴えを退け、仏像の所有権が対馬市の観音寺にあるとする判決を下したのです。
これを受け、2025年1月に仏像の返還手続きが韓国で行われましたが、韓国の寺に貸し出す形で100日間の法要が行われていました。
その最後の法要を10日に終えた仏像は、長崎県に向けて出発。
そして12日朝、観音寺の住職や檀家らが出迎える中、ついに到着の時を迎えたのです。
約13年ぶりの帰還に、人々の間には喜びが広がりました。
檀家：
（戻ってきて）とてもうれしかったです、泣けます。宝物です。
長年、仏像の返還に尽力してきた田中節孝前住職は、安置された仏像に「13年が一瞬にして消えた感じがした。自然な感じ。こんな事件があったと思えない風景。」と思いを寄せています。
戻ってきた仏像は今後、対馬博物館で展示・保管されることになっています。
