震災の記憶を風化させないよう、福島県に新たな挑戦を始めた場所がある。
「(震災)資料の数としては16点ほどではあるんですけれども、新しく展示を加えさせていただいています」
2024年12月からのリニューアル工事を経て、2025年4月から再開した会津若松市の福島県立博物館。旧石器時代から福島の歴史をたどる常設展示に、新たに「東日本大震災」が加わった。
「もしかすると、津波で流されてこすれたあとかもしれないですよね」と話す福島県立博物館・主任学芸員の筑波匡介さん。曲がった看板に、地震で落下した高校の体育館の照明、津波で流された郵便ポスト。当時を知らない若い世代も増えてきたからこそ、災害への備えを問いかけ、自分ごととして向き合ってもらいたいと願いを込める。
「常設展示することによって、例えば観光に来られた人たちとか、教育旅行にきた皆さまにも、東日本大震災のことを知っていただく機会になるなと思っていて、(震災が)かなり過去の出来事になってしまっているんですね。ですが、福島県の博物館としては、このできごとは皆さんに知っておいてもらいたい」と筑波さんは言葉に力を籠めた。
福島の歴史に刻まれる「あの日」を、未来に伝える取り組みが進んでいる。