日本大学の元副学長が、アメフト部の薬物事件の対応を巡り辞任を強要されたのはパワハラにあたるなどと主張し林真理子理事長を訴えた裁判で、東京地裁は元副学長の訴えを退けました。
日大の沢田康広元副学長は、アメフト部の薬物事件の対応を巡って辞任を強要されたり、合理的な理由を告げられずに重要な会議への出席を禁止されたことはパワハラにあたるなどと主張し、林理事長に1000万円の損害賠償を求めています。
東京地裁は9日の判決で、林理事長が辞任を求めた行為などについて、「パワーハラスメントにあたるとは言えない」と指摘しました。
そのほかの言動についても「不法行為となるような違法性を認めることはできない」と述べ、沢田元副学長の訴えを退けました。
裁判の経緯を含めて詳しく見ていきます。
事の発端は2年前、2023年7月に起きた日大アメフト部の薬物事件でした。
そしてその年の11月、沢田元副学長は、薬物事件の対応を巡って林理事長から辞任を強要されたり、合理的な理由を告げられずに重要な会議の出席を禁止されたことはパワハラにあたるなどと主張し、林理事長に1000万円の損害賠償を求めたわけです。
それに対して林理事長は2024年2月、「辞任強要したことはない」と主張し、一方、「日大を守ることを考えて沢田先生がお引きになるのがよろしいのではないかと個人的な感想を申した」と述べていました。
今回、棄却した理由について東京地裁は、沢田副学長が主張する辞任を求めた行為については、「パワーハラスメントにあたるとはいえない」とし、その理由については、林理事長が優越的な関係を背景に業務上必要かつ相当な範囲を超え辞任を求めたとは認められないとしています。
そして、重要な会議への出席を禁止されたことについては、沢田氏を除く執行部会のメンバーがとった方針が会議への出席を禁止するものであったとまでは評価できないとしています。