アフリカのガーナで捨てられるあるごみに、新たな命を吹き込みます。

2日から11日まで東京・原宿で開催しているイベント「ゴミと鉛筆とアート展」。

アート作品がずらっと展示された会場の床には、一面にカカオの殻がちりばめられています。

今回展示されているアート作品に使われている鉛筆には、カカオの殻からできているという秘密が。

この鉛筆が課題解決の鍵になっています。

アフリカのガーナでは年間80万トンのカカオが生産・出荷されていますが、そのうちの75%が殻で日常的に捨てられているのが現状です。

さらにカカオの殻のごみに蚊が発生し、マラリアに感染してしまう人が増加しています。

こうした問題に着目したのが、アフリカの教育や雇用の課題に取り組む団体・CLOUDYです。

代表の銅冶さんは教育が行き届いていない現状とカカオの殻の問題を結び付け、鉛筆を通して子どもたちの夢の選択肢を広げたいと考えました。

CLOUDY・銅冶勇人CEO:
ひとりでも多くの子どもたちに鉛筆を持ってもらうような未来を描きたいと、ずっとアクションしてきたのでゴミから教育をつくれないかと。

今回のカカオ鉛筆は三菱鉛筆とタッグを組み、ガーナで捨てられているカカオの殻をパウダー状にし化合物を混ぜ、粘土状に成形して焼き上げることで完成しました。

三菱鉛筆・数原滋彦代表取締役社長は「カカオの殻は粉みたいなもので、これを固めて軸にするが、一番わかりやすいのが強度、折れてしまう問題があった」と、完成までの苦労を話しました。

1個のカカオからできる鉛筆は13本です。

会場内に設けられた白い壁には来場者が自由に描くことができるスペースがあります。

来場者は「なめらかに書けます。普通の鉛筆と遜色ない」「ちょっとカカオの香りがする」などと話しました。

来場者もアートに参加できる体験型にした狙いを、CLOUDY・銅冶勇人CEOは「自分たちの生活の中にも、もっと解決しなければいけない身近な問題はたくさんある。自分たちでもできるアクションはたくさんあることに気づいていただけるようなきっかけになったらいいなと」と話しました。