関西生コンクリート業界の労働組合の幹部ら2人が、強要未遂の罪に問われた差し戻しの裁判で、組合員の男性1人に再び無罪を言い渡した、大阪高裁の判決が確定しました。

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の執行委員の安井雅啓被告(48)と組合員の男性(63)は、8年前、日雇い運転手だった組合員の勤務先に就労証明書の作成を執拗に求めた、強要未遂の罪に問われていました。

1審の京都地裁(柴山智裁判長)は、「組織力を背景にして、執拗に交付を要求した」として安井被告に懲役1年、組合員の男性に懲役8カ月、それぞれ執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

その後、2審の大阪高裁(村山浩昭裁判長)は「勤務先に就労証明書を作成・提出する義務があった」などとして強要未遂罪は成立しないと判断。

組合員(63)の男性については、無罪を言い渡しました。

一方、安井被告には、別の組合員との共犯で脅迫が認められるとして罰金30万円の判決を言い渡しました。

この判決を不服として、検察と安井被告が上告し、おととし最高裁は、大阪高裁に審理を差し戻していました。

4月17日に開かれた、差し戻しの裁判で、大阪高裁(石川恭司裁判長)は「勤務先には就労証明書作成などの義務があり、1審判決は、両被告の要求行為などについて諸事情を十分検討していない」と厳しく指摘。

組合員の男性(63)に再び、無罪を言い渡しました。

一方、安井被告については一部の言動について「社会通念上、受忍すべき限度を超えたもの」と認め、懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

大阪高裁によると、検察からの上告はなく、2日付けで組合員の男性(63)の無罪が確定しました。

安井被告側は、判決を不服として4月21日付けで最高裁に上告しています。

関西テレビ
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