男性よりも女性の患者が多いことが知られるアルツハイマー型認知症について、男性ホルモンのテストステロンに発症のリスクを低減させる働きがあることを九州大学の研究グループが突き止め、このほど発表しました。
アルツハイマー型認知症は女性が患者の約3分の2を占め、男性のほうが少ないメカニズムについては詳しく分かっていませんでした。
アルツハイマー型認知症の患者の脳ではアミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質が適切に処理されずにたまり、病気が進行すると考えられています。
九州大学大学院歯学研究院の兼松隆教授たちの研究グループは脳内の免疫細胞であるミクログリアに着目し、男性ホルモンのテストステロンがどのような役割をしているか、マウスを使った実験など研究を進めてきました。
その結果、テストステロンがミクログリアに作用することで、細胞が不要になったたんぱく質などを分解し再利用する仕組みを活性化させ、アミロイドβがたまるのを防いでいることを発見したということです。
研究グループは「性別の差を考慮した研究を続け、一方の性であることが不利益とならないような予防・治療法の開発に貢献したい」としています。