群馬県の南西部・神流町を流れる神流川。
関東一といわれる清流を誇り、この時期、その流れの上を泳ぐ800匹の「こいのぼり」が話題になる場所です。

そんなのどかな町で、思わぬところから食中毒が発生しました。

30日の「ソレってどうなの?」は“安全神話が崩壊?水道水で食中毒”をテーマにお伝えします。

4月11日以降、神流町では住民14人が下痢や腹痛などの症状を訴えました。

いずれも快方に向かっているということですが、やはりかなり大変だったようです。
実際に被害に遭ったという人に話を聞きました。

体調を崩した町民は「最初は熱が出た。とにかく後は下痢がひどくて便所のそばから離れられない。最初は原因がわからなくて、町の対応も、水を一切使わないでとか説明してくれれば。最初はだるかったり節々が痛かったり、コロナかと思った」「だるくてだるくて、汗が出て、そして下痢。死ななくてよかった」と話しました。

町が安定して水を供給するため一時的にためておく「配水池」と呼ばれる施設を調査したところ、水道法の水質基準を超えていたことが判明しました。

複数の住民からは細菌の「カンピロバクター」が検出され、県は水道水が食中毒の原因だと断定しました。

現在は、町では水道水を飲まないように呼び掛けて、これまで2リットルのペットボトル6本を5回各世帯に配布しています。

しかし、町の皆さんからは不安の声が聞かれました。

神流町民(80代)は「連休になるから困っちゃう。うちは(食中毒に)かかったら大変。年だもの、お父さんも年だし、かかったら大変。私は83だから、下痢なんかしたら大変」と話します。

神流町によりますと、水道水にカンピロバクターが混入してしまった原因は次のような可能性があるといいます。

通常、浄水場からくる水は配水池を通り、住民のもとへ届きます。
この配水池があふれないように排水路が作られていますが、そこには農業用水の排水路が合流していて、そこが逆流したのではないかということです。

食環境衛生研究所・内山博文さんによりますと、実は水道水が原因の食中毒は何年かに一度起きていて、そこまで珍しくないといいます。

つまり、今回と同じような構造の水の供給システムがある場所では、全国のどこでも起きる可能性があるようなんです。

安全なはずの日本の水道水にこの事故が起きてしまったことに、食環境衛生研究所・内山さんは「日本の水は世界トップレベルの安全性を誇っている。毎回煮沸するというのは日本人には定着しない。浄水場や水道局の人為的なミスだとしたら、再発防止を徹底してもらえれば」と話していました。

では、私たちが食中毒にかからないためにはどういう対処をすればいいのでしょうか。

食環境衛生研究所・内山さんによると、「透明なコップに水を出して、色やにおいを嗅ぐ、濁りがないか、普段と違和感があるかどうか確認し、違和感があれば絶対に口にしない。市販のペットボトルを購入するとか、ウォーターサーバーの水を活用するといった対処法が考えられる」といいます。

町の担当者は「多大な迷惑をおかけし大変申し訳ない。再発防止策を講じ、なるべく早く飲用水の復旧を目指したい」と話しています。