岩屋外相は現地時間28日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開催されているNPT(核拡散防止条約)再検討会議の準備委員会で演説し、「核兵器のない世界」に向けた「一致団結」を呼びかけた。
NPTは、アメリカやロシアなどの核保有国と非核保有国が核軍縮に向けて議論する枠組みで、2026年に開かれる再検討会議に向けて、28日から国連本部で準備委員会が開かれている。
NPT再検討会議の準備委員会に日本の外相が出席するのは7年ぶり。
岩屋外相は演説で現在の状況について、「法の支配に基づく国際秩序がゆらぎ、非常に厳しい安全保障環境に直面している。不透明な核戦力の増強や北朝鮮による核・ミサイル活動の進展といった、核軍縮の歩みに逆行する、核不拡散体制を脅す動きも加速している。NPTを始め、国際協調の枠組みも困難に直面している」と懸念を表明。
さらに、再検討会議で過去2回、最終文書が採択されていないことを指摘した上で、「対話と協調の精神を最大限発揮し、来年の運用検討会議で一致団結しよう」と呼びかけた。
また、岩屋外相は、「今日、『核兵器のない世界』を求める声は、これまで以上に大きなものとなっている。締約国の間で一つずつ一致点を見いだしていくことは、我々全員が共有する責任であり、道徳的な要請だ」と述べた。
そして、「原子力が平和と繁栄をもたらすか、破壊と破滅をもたらすかは、今ここにいる我々にかかっている」と強調した。