歴史的な建物の中で、四季を映す一皿と道産ワインをゆったりと楽しむ──そんな贅沢な時間を、小樽の中心で過ごせる場所が「小樽バイン」。
北海道中央バスが運営するこのワイン&カフェレストランは、2025年4月26日にリニューアルオープンを迎えた。
店内に広がる石造りの重厚な壁、窓から差し込む柔らかな光、テーブルに並ぶ季節の一皿。
小樽の空気をそのまま閉じ込めたような空間が、訪れる人を迎える。

100年の時を刻む、小樽の名建築で過ごす
「小樽バイン」が店を構えるのは、北のウォール街と呼ばれた“日銀通り”に面する一角。
1912年(明治45年)に建てられた旧北海道銀行本店で、現在も北海道中央バス本社が入居する建物だ。
石造りの重厚な建物は小樽市の歴史的建造物にも指定されており、店内に一歩足を踏み入れると、当時の壁や床がそのまま残されており、小樽の街が歩んできた時間の流れを肌で感じられる。

1996年(平成8年)に「運河に訪れる人たちが、市の中心街まで足を伸ばしてもらえるようなお手伝いをしたい。歴史的建造物の有効利用で若手社員が多様性のある仕事ができるチャレンジの場に!」という思いで、ワイン販売とワインに合うレストラン事業を開始した。
店名「小樽バイン(BINE)」は、WINE(ワイン)の頭文字“W”を、BUS(バス)、BANK(銀行)の“B”と入れ替えた造語だ。

ハレの日も普段使いも。格式と親しみのバランス
店長の坂田健一さんは「(建物が銀行だったこともあり)入口が少し入りにくく、敷居が高そうなイメージがあるかもしれませんが、実際に入っていただけたら非日常的な空間で、ちょっと贅沢なお食事をカジュアルに楽しめるお店です」と話す。
外観の格式高さとは裏腹に、料理は気軽に楽しめるメニューが揃っており、北海道産や小樽産のワインを豊富に取り揃え、全品グラスで注文可能なため、ワイン初心者にも親しみやすい構成だ。
特に人気なのが「バインフォンデュ」。
小樽で焼いたパンをくり抜いた器に、白ワインでとろけた濃厚なチーズがたっぷりと注がれた逸品、パンと具材に絡むチーズが絶妙でワインとの相性も抜群。

地域とともに未来へ。小樽バインのリスタート
コロナ禍を境に夜の宴会を受け入れる店舗が減少する中、「小樽バイン」では宴会メニューと個室スペースを新たに設置し、地元の方々もより利用しやすい店舗へとリニューアル。

坂田店長は「北海道中央バスという会社はこの地域に根差した会社ですので、地元のお客様抜きには語れません。市内はもちろん、市外からも訪れるお客様に、歴史的建造物でお食事を楽しむという価値を感じていただければと思っています。地域に愛されるレストランとして努めてまいります」と語る。
日常の延長にある「ちょっとした贅沢」を、歴史ある建物の中で味わえる「小樽バイン」。
小樽の文化と食の豊かさを体験できる場として、これからも地域に寄り添い続ける。
