マイページ
家を探して終わりではないサポート 高齢者・障害者など「制度と法律の“はざま”」で苦しむ人に“居住支援”の救いの手【山形発】|FNNプライムオンライン

家を探して終わりではないサポート 高齢者・障害者など「制度と法律の“はざま”」で苦しむ人に“居住支援”の救いの手【山形発】

Google ニュース プリファードソース

生活保護などの支援制度の多くは、「住まい」がなければ利用することができないが、高齢や障害を理由に賃貸住宅への入居を断られるケースも少なくない。こうした高齢者や障害者が抱える住まいの課題について、「住まい探しの支援」を始めた山形の団体を取材した。

高齢・障害などを理由に入居を断られる人を支援
高齢・障害などを理由に入居を断られる人を支援
この記事の画像(13枚)

入居を“断られやすい人”に寄り添う

山形市の「山形県地域包括支援センター等協議会」は、県内の高齢者や障害者の福祉向上を目的に作られた一般社団法人。

山形県地域包括支援センター等協議会が高齢者・障害者などの「居住支援」を行う
山形県地域包括支援センター等協議会が高齢者・障害者などの「居住支援」を行う

この協議会が2024年4月から県の認可を得て始めたのが、低所得者や高齢者・障害者など、賃貸住宅への入居を断られやすい人への「居住支援」。
物件探しを無料で手伝うだけでなく、入居に必要な「緊急連絡先」としての登録も受ける。

制度と法律の「はざま」に“生きづらさ”

福祉サービスや生活保護といった支援制度を利用したくても、住まいがないために住民票が取得できず、申請すらできない人がいる。

自治体や公共機関が提供する支援制度を利用したくても、住民票を取得できず申請できない人も
自治体や公共機関が提供する支援制度を利用したくても、住民票を取得できず申請できない人も

協議会の常務理事を務める齋野さんは、こうした支援を必要とする人の一部が置かれた状況を「制度と法律のはざま」と表現する。

山形県地域包括支援センター等協議会・齋野和夫常務理事:
家族を頼ってもダメだった人もいる。「制度と法律の”はざま”」で生きづらさを感じたりしている人を、住まいの視点から援助していけないかと。

山形県地域包括支援センター等協議会・齋野和夫常務理事
山形県地域包括支援センター等協議会・齋野和夫常務理事

高齢者の場合は、賃貸住宅で「知らない間に亡くなっていた」となると“事故物件”になる。その後、借りる人も少なくなるリスクがある。
また、精神障害があると、めったにないが奇声を発したり壁をたたいたりということも。

大家さんにとっては、高齢者や障害者が抱えるこうしたリスクに対して、「入居後の見守り」などの条件を加えることで、不動産会社や物件の大家と交渉を進めていくという。

賃貸住宅の大家さんが“リスク”と感じることに条件を付加し交渉する
賃貸住宅の大家さんが“リスク”と感じることに条件を付加し交渉する

約1年で20件のサポート実績

協議会が「居住支援」を始めてから1年。これまでに約30件の相談を受け、そのうち20件で住まいの確保につなげてきた。

ある日、齋野さんが訪ねたのは、自らが「居住支援」をした市川厚子さんが住む山形市内のアパート。
入居した後も、困りごとがないか、定期的に訪れ確認している。

住まいを見つけて終わりではなく、住み始めてからも定期的に暮らしを確認
住まいを見つけて終わりではなく、住み始めてからも定期的に暮らしを確認

市川さんは、「双極性障害」と「ぼうこう機能障害」があり、定期的な通院と毎日の服薬が欠かせない。

居住支援を利用した市川さんは、定期的な通院や服薬が必要
居住支援を利用した市川さんは、定期的な通院や服薬が必要

こうした中、2024年に賃貸住宅を契約したいと考えていた市川さんは、ある大家から「障害のある人には貸せない」と言われたという。

市川厚子さん:
住めないとなると、次に住むところを探さないといけない。でも探すにも大家さんに「障害のある方は…」と言われると、どうやって探したらいいのか迷う。

障害や病気を理由に家・住まいを借りられないことも…
障害や病気を理由に家・住まいを借りられないことも…

そこで市川さんは、山形市から紹介された「居住支援」に助けを求め、交渉の末、2024年10月、家賃や間取りなど希望する条件に見合った今のアパートに入居することができた。

市川さんは、「すごく安心した。助かった。ここを借りるにあたって、大家さんが私の状況をすべて受け入れてくれたというのはありがたい」と話してくれた。

協議会のサポートがあったことで、大家さんに病気・障害の状況を理解してもらえたと話す
協議会のサポートがあったことで、大家さんに病気・障害の状況を理解してもらえたと話す

家を探して終わりでなくフォローが大切

入居の決め手となったのは、介護・看護ケアの利用だ。
毎月2回の「訪問介護」と、体調管理や薬の飲み忘れがないかの確認など、週2回の「訪問看護」。
定期的なケアを行いリスクに備えることを条件に、契約にこぎつけた。

市川さんは各機関が密に連携することで実現した支援に対し、「住んでいてもどういう状況で大家さんから言われるかわからないし、不安はある。そういう時にいろいろな人とつながっていて、相談できると助かる」と、安心して暮らせることに安どしていた。

協議会・訪問介護・訪問看護が密に連携することで、リスクに備え契約することができた
協議会・訪問介護・訪問看護が密に連携することで、リスクに備え契約することができた

協議会には高齢者や障害者だけでなく、山形へのUターン希望者や、刑務所などで刑期を終えた元受刑者など、さまざまな境遇の人から相談が舞い込む。

しかし、これまでに受けた相談のうち、全体の3分の1は、契約に至っていないのが現状。
今後も不動産会社や障害の相談支援事業所などとさらに連携を深め、「制度と法律の”はざま”」を埋めるための住まい探しを続けていく。

いろいろな境遇の人から相談を受けても、全体の3分の1は契約に至っていない現状も
いろいろな境遇の人から相談を受けても、全体の3分の1は契約に至っていない現状も

協議会の齋野さんは、「居住支援は家を探してあげたら終わりではなくて、フォローが大事。我々だけで解決できるケースは少ない。いろいろな人が支えて生活を送れる、小さな住まいの問題だが、広く地域共生社会実現のお手伝いをしていきたい」と語っていた。

「地域共生は1団体で完結するのではなく、さまざまな人が支え合って実現できる」と話す齋野さん
「地域共生は1団体で完結するのではなく、さまざまな人が支え合って実現できる」と話す齋野さん

賃貸住宅の契約に悩みを抱えている人は、県地域包括支援センター等協議会に相談してみてほしい。
電話:023-666-7077(月~金/午前9時~午後4時半)

(さくらんぼテレビ)

  • 1
  • 2
関連記事
さくらんぼテレビの他の記事
【地震】山形県内で震度2 小笠原諸島西方沖を震源とする最大震度3の地震が発生 津波の心配なし
【地震】山形県内で震度2 小笠原諸島西方沖を震源とする最大震度3の地震が発生 津波の心配なし
社会
「測量」でグラウンドに校章を描こう! 児童たちが巨大な地上絵づくりに挑戦 山形・天童市
「測量」でグラウンドに校章を描こう! 児童たちが巨大な地上絵づくりに挑戦 山形・天童市
都道府県
春の高校バレー県代表決定戦・あすの決勝 対戦相手が決まる 山形市
春の高校バレー県代表決定戦・あすの決勝 対戦相手が決まる 山形市
都道府県
【地震】山形県内で震度1 岩手県沖を震源とする最大震度3の地震が発生 津波の心配なし
【地震】山形県内で震度1 岩手県沖を震源とする最大震度3の地震が発生 津波の心配なし
社会
一覧ページへ
さくらんぼテレビ
さくらんぼテレビ

山形の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

×