こちらをご覧ください。東シナ海に面したこちらの赤いエリア。

鹿児島県いちき串木野市の海岸から約5キロまでの海域で、4つの漁協が共同で漁業権を持っています。

鹿児島県は25日、このエリアについて、いちき串木野市が誘致を進めている洋上風力発電の建設手続きの入り口となる「情報提供」を国に対して行いました。

県内では初の「情報提供」となります。

田中慎介記者
「洋上風力発電の建設を巡る情報提供の対象となっているのは、いちき串木野市の沿岸から約5キロ圏内の海域です。県内では初の情報提供です」

洋上風力発電の建設は、再エネ海域利用法に基づき、候補となる海域について各都道府県が国に「情報提供」を行うことが手続きの入り口となっています。

いちき串木野市沖の洋上風力発電建設をめぐっては、2023年8月に薩摩半島西方沖の沿岸自治体や漁協などによる研究会が設置され、候補海域が検討されていましたが、県は2024年、「地元の利害関係者の理解が得られていない」として、国への情報提供を見送っていました。

それから間もなく1年となる25日、県は「県の枠組みの研究会では専門的知見が不足していて、議論がこれ以上深まらない」「国や有識者などの専門的知見の技術を活用しながら検討を行う必要がある」として、国に対して情報提供を行いました。

今後は国による検討が進められ、該当海域が「有望区域」と位置付けされた場合は、法定協議会が設置されます。

そこで意見がまとまれば「促進区域」に指定され、国が洋上風力発電の建設に向けて事業者の公募を実施することになります。

洋上風力発電の誘致を進めるいちき串木野市は「情報提供の判断は大変ありがたい。専門的な議論を期待するとともに、市民や関係者に丁寧な説明を行い、前進させたい」とコメントしています。

一方、いちき串木野市沖の洋上風力発電建設を巡っては、生活環境や健康への影響を懸念する市民団体が、4月18日、国への情報提供を行わないよう県に要請していました。

今回の情報提供について、市民団体の幹部は憤りをあらわにしました。

市民の命と暮らしを考える会・神野 隆司事務局長
「(情報提供は)事業化のスタートのスイッチを押したと理解している。いちき串木野市沖がOKであれば、今度は日置市沖5km圏内、南さつま市5km圏内、あるいは薩摩川内市、阿久根市もいいじゃないかという議論に発展する可能性があって、ここをキッチリ食い止めないと拡大していく」

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。