馬が重りを乗せたそりを引いて競争する涌谷町の伝統行事、ばん馬競技大会が4月20日、開催されました。去年、動物虐待だとして刑事告発され、不起訴にはなりましたが、今年から大会の様子は大きく変わりました。
わくや桜まつりのメインイベントとして今年も開催された「東北ばん馬競技大会」。最大900キロの重りを載せたそりを引き、全長120メートルのコースに設置された2カ所の障害を乗り越えてタイムを競います。「人馬一体」を魅力に挙げるレース、観客たちも声援を送ります。
観客は
「かわいかった」「すごいなと思いました」「予想よりも速いと思った」
ばん馬大会は戦後間もないころ、田畑を耕すために農機具を引く、農耕馬の力を競おうと始まりました。当時の映像からは激しく手綱を引いたり、強くむちで叩く様子が見て取れます。こうした行為が「動物虐待にあたる」として、去年、長野県のNGO団体が大会の関係者を刑事告発しました。一方で、仙台地検古川支部は県警の捜査内容をもとに、今年1月、不起訴処分としました。「有罪判決を得るために必要な証拠を得られなかった」ということです。不起訴とはいえ、馬主たちの思いは複雑です。
馬主
「やっぱり気合いを入れたいんだけれど、入れたらだめってことだから、これは困ったもんだなと。犬でも猫でもしつけってある。人間だってそうだ。それをなんで分かってもらえないのかなと」
馬主
「馬の価値を見せたいわけ。観客も言うように人馬一体。障害のところで頑張っている時にさあ行けという気合いを入れて」
記者リポート
「今、ばん馬がコースを駆け抜けています。並走する人たちは気合いの声掛けをしていますが、むちを入れるようなことはしていないようです」
大会を主催する涌谷町は今年からルールを見直すことに。
涌谷町産業振興課 三浦靖幸課長
「不起訴にはなりましたけれど、虐待というふうに思われる人がいるというのは事実ですので、今回の大会につきましては、むちの使用はなしという形」
観客
「人馬一緒になって引っ張ってあげているところとかちょっとグッときました。実際に見たらそんなことはない。人も馬も一緒に楽しんでいる感じがして。(虐待があるという)感情は一切なく見れて、そういう意味では安心した」
観客
「時代なのかなというところもあるんですけれど、個人的にはあまり(虐待には)感じない。これからも続いてほしい大会だと思いました」
涌谷町産業振興課 三浦靖幸課長
「涌谷町としてはやはり大きなイベントですので。動物がこんな近くで見られる大会ってないはずなので、涌谷町に来て肌で感じていただいて、できれば続けていきたいと考えております」