玉名女子高校吹奏楽部の初代顧問で、熊本県マーチングバンド協会の名誉会長などを務める森 義臣さん83歳の初めての独唱会に密着しました。会場は森さんの優しく温かな歌声に包まれました。
【森 義臣さん】
「〈死ぬ前に一回ぐらいは独唱したいな〉と思って相談したら、若手の音楽界の人が『やりましょう』と言ってくれて。それに甘えて、きょうを迎えた。本当に幸せ」
3月29日、熊本市国際交流会館で開かれた独唱会。
歌声を披露するのは、森 義臣さん、83歳です。
森さんは1966年に創設された玉名女子高校吹奏楽部の初代顧問。
約30年間にわたって指導を続け、全国屈指の強豪校に育て上げました。
そして、今から約50年前には、当時、熊本どころか九州でもほとんどなじみがなかったというマーチングを普及させようと、フェスティバル開催にも尽力。熊本のマーチング界を率いてきた第一人者です。
現在も熊本県マーチングバンド協会の名誉会長などを務めています。
森さんが音楽を好きになったきっかけは声楽。
学生時代はコーラスに打ち込みました。
そして今回、念願だった独唱会を実現。
この日は約200人が来場しました。
水俣の風景や生活をイメージして作詞された組曲『小さき町』では、魚売りの役として長男の智也さんが出演しました。
最後には客席からアンコールも湧き起こり、情熱的な恋心を表現したイタリア歌曲『Osolemio(オー・ソレ・ミオ)』を笑顔で歌い上げました。
【来場者(玉名女子高校時代の生徒)】
「素晴らしい先生の声を久しぶりに聴いた。ブラスの第1期生。私たちも後に続いて頑張りたい」
【来場者(熊本高校の後輩)】
「いい声を聴いてびっくりした。83歳ですもんね。人柄がそのまま出ている。優しい、いい先生」
【観客(玉名女子高校時代の生徒)】
「素晴らしかった。涙、涙で…。恩師でもあり、〈お父さん〉みたいな存在で、心の支え。先生が頑張っていると、〈私たちもまだまだだな〉と思って頑張る活力が湧いてくる」
「言葉を大事にして詞が伝わるように歌いたい」と話していた森さん。
大満足の様子です。
【森 義臣さん】
「温かい拍手をたくさんの人にいただき、感謝と幸せと、心からのお礼。これ以上のことはない。観客の目を見て、心を読み取る中では『伝わっているな』とステージで感じた。良かった。何歳まで生きるか分からないが、ずっと歌い続けられたら幸せだなと思う」
森さんにとって「音楽は人生そのもの」。これからもたくさんの人の心にその歌声を届けます。