風光明媚な港町にそびえたつ廃旅館。
不法侵入が相次ぎ、ついには不審火が発生する事態となっています。
「イット!」取材班が向かったのは、和歌山市にある小さな港町・雑賀崎。
イタリアの世界遺産「アマルフィ海岸」に似ていることから“日本のアマルフィ”と呼ばれています。
問題の廃旅館は、海が見渡せる小高い丘にそびえ立っていました。
多くの客を運んでいた送迎バスは落書きだらけ。
壁や窓ガラスにもびっしり。
侵入した者の仕業なのか、客室の障子は破られています。
宿泊客を出迎えていた旅館の玄関の入り口には、土のうが敷き詰められていました。
さらに廃旅館のすぐ隣にある別の廃旅館も窓ガラスが割れ、フロントがあったと思われる場所は荒れ果てた姿になっていました。
これらの旅館は1950年代後半ごろに開業。
その後所有者が亡くなるなどの理由で、20年ほど前に閉業するとそのまま廃墟化したといいます。
近くの住民は「(廃虚を)若者の遊び場として使っていた」「キャーキャーとにぎやかになる。家の中にいても(声が)聞こえてきた」と治安の悪化に危機感を募らせており、不法侵入が後を絶たないといいます。
しかも、廃旅館はネット上で心霊スポットとして取り上げられ、ユーチューバーなどが相次いで侵入しているといいます。
さらに卓球場や大浴場にも無断で侵入していました。
そして市が、廃旅館を立ち入り禁止にする中、とうとう2024年3月、廃旅館で火事があったのです。
煙に包まれる廃虚。
警察は現場に火の気がないことから、不審火とみて捜査しています。
日本のアマルフィに立つ廃虚旅館。
雑賀崎地区の自治会長は昔のような絶景に戻ることを望んでいます。
雑賀崎地区連合自治会長・寺井節次さん:
青い海やきれいな町並みを、昔のように復活してもらったら観光客も増える。それが一番の望み。
和歌山市は旅館の所有者に行政指導を行い、改善計画の提出を求めています。