東京・新宿区で1月30日、新たにドーナツ店がオープンし大行列となるなど、「第5次ドーナツブーム」となっている。
手頃な価格帯や「生」食感が人気の背景にあり、購入者の約80%は手土産用として購入しているという。
「第5次ドーナツブーム」で店には大行列
昭和の時代から長くおやつの定番として愛されているドーナツに、「第5次ドーナツブーム」が到来中だ。

物価高などで飲食店の倒産件数が過去最多となる一方で、ドーナツ店は次々とオープンしている。
1月30日、新宿区の京王百貨店に全国29店舗目となるドーナツチェーン店「JACK IN THE DONUTS」がオープンした。
開店直後にできた行列は、百貨店の外にまで続いていた。
こちらの店では「世界のドーナツ」をテーマに、色とりどりの商品を25種類以上も販売している。
選ぶ楽しさから、お客さんが次々と大量に購入していく。
客:
違うところのチョコレートを買おうと思ったら、これがかわいいので、つい並んでしまいました。
客:
20個ぐらい。自分と家族用。デザートにもなるし、お昼のランチにもなる。

ドーナツは1つ100円台後半からあり、リーズナブルに購入できることも大きなポイントだ。
普段使いの手土産として、贈る方ももらう方も気を使わずに済む、ちょうどよい価格帯を心がけているという。
取材中、袋を小分けにして購入する人が目立った。
男性客:
自宅用、会社用、友達用です。
客:
プレゼントにあげたり、自分で食べたりします。何か気軽にちょっと渡すのにいいかなと思って。

ビッグクリエイト・北浦大作代表取締役:
自分のために買う方は約20%なんです。約80%が誰かのために買われる方が多いです。
物価高で財布のひもが固くなる中、ドーナツ全体の売上高は右肩上がりに伸びている。
この背景について、専門家はこう分析する。
消費ジャーナリスト・谷頭和希さん:
ケーキだと、どうしても1000円前後かかってしまう。ドーナツの場合だと、300円から500円ほどの価格帯です。比較的低価格帯で食べられるということで、どのお店に行っても行列ができているという状態です。
年間500種類以上のドーナツを食べるドーナツ探求家・溝呂木一美さんによると、今は「第5次ブーム」真っ最中だという。

1971年、ミスタードーナツの第1号店オープンでブームが始まり、2003年に「ポン・デ・リング」の発売で第2次ブームが沸き起こった。
第3次ブームは2006年、アメリカから「クリスピー・クリーム・ドーナツ」が日本初上陸し、空からも撮影されるほど新宿駅には長い行列ができた。
そして、第4次ブームは2013年、世界的に流行した「クロワッサンドーナツ」。
そこから、約10年ぶりに巻き起こった今回のドーナツブームの火付け役ともなったのが「生ドーナツ」だ。
自由な「生」の定義がブームの広がりを生む
生ドーナツの人気店、東京・新宿区の「dacō?神楽坂」には平日にもかかわらず、長い行列ができている。

客:
ふんわりして、とろけるような感じがクセになります。
ふわふわ食感を生み出すために、生地には卵やバターを多く使い、そこにカボチャを混ぜ込んでいる。
さらに揚げ方にもこだわりがある。
dacō?・猪戸沙月さん:
高温で短時間で揚げることで、気泡を膨らませて生ドーナツの“生食感”を出しております。
遠藤玲子キャスター:
ーー今のブームは生ドーナツということですが、「生」の定義って何だと思いますか?

青井キャスター:
生っぽい雰囲気ですか?
遠藤キャスター:
実は「っぽい」が正解なんです。正確な定義があるわけではなく、お店によってさまざまなんです。例えば生のような食感だったり、生クリームを生地に練りこんでいたり、たっぷりと中に生クリームが入っているようなドーナツのことを「生ドーナツ」と呼んでいて、自由に各企業や店舗が定義を作ることで、ブームの広がりの1つの要因になっている。だから、生ドーナツは「っぽい」で正解です。
そして、進化はまだまだ止まらない。先ほどのお店では、ピザ窯でドーナツを焼いた「ナポリドーナツ(1個270円・1人2個まで)」を発売している。
形はドーナツだが、ピザの耳のような食感のまったく新しいもので、甘くておいしくて、値段は300円以下ということだ。
(「イット!」2月5日放送より)