東京・代官山で、老朽化で2月に解体予定の10階建てマンションでアート展が開催されている。国内外のアーティストが空室を装飾し、空白期間中も人を呼び込む「ビル終活」の狙いがあり、街の賑わい創出や治安悪化防止につなげる考えだ。
マンション一棟がアートに!
東京・渋谷区代官山にあるマンションを外から撮影した映像。

大胆に文字のペイントがされたベランダ部分の通路には、ウサギの画などが描かれている。

大規模な落書き被害かと思いきや、実はマンション一棟で行われているアート展。
今回、イット!が訪ねたマンションでは「終活」が進んでいたーー。

記者:
こちらのマンションには廊下もアート作品になっていますが、部屋はどうなってるかと言いますと、部屋一面に画が描いてあってアート作品になっています。

解体予定のマンションを有効活用しようと、国内外のアーティストが個性的に装飾する取り組み、「アートゴールデン街 by NoxGallery×Superchief×Brillia」が開催されている。
一棟まるごとアート空間が広がっていたのは、東京・代官山にある10階建てのマンション「セゾン代官山」。

このマンションは建てられてから40年近くが経ち、老朽化で2024年12月までに全員が退去し、2月にも解体されることとなった。
マンションの50ある部屋を有効活用しようと、国内外のアーティストが個性的に装飾する取り組みが始まっている。

部屋だけではなく、トイレやお風呂、台所といった場所もアート一色だ。中には現在進行形で創作活動が続く部屋もある。アーティストによると部屋1室を使った活動は、日本ではあまりチャンスがないという。

グラフィティライター・snipe1さん:
日本でもこういうことができるのが嬉しくてしょうがないですね。自分の部屋を作ったらこうなっちゃうのかな。
マンションは2月に取り壊される予定だが、作品が残らないことにもったいなさはないのだろうか。
グラフィティライター・snipe1さん:
消えてなくなることが良さでもあるかなと思っています。儚さというのをあんまり感じない世の中ですし、それを感じられる。せっかく書いたのに、やったのにというのが無くなってしまうのが良いかな。
解体までの空白期間が課題に…街に活気を生み出す
老朽化し、人がいなくなったマンションで行われているアート展の狙いは「人の流れ」にあるという。

東京建物マーケティンググループ・大高菜未さん(高:はしごだか):
ビル終活というところに焦点を当てておりまして、解体前は街が少し静かになってしまったりすることもあると思いますが、街の賑わいを創出するようなアートイベントにつながっているのではないかと思います。
都内では高度経済成長期の建設ラッシュに建てられた建物の多くが一斉に更新時期を迎えたり、大規模再開発が行われている。一方で、人手不足や工事費の高騰、関係者との合意形成が難航するなど、解体まで空白期間が長くなるといった課題もある。

懸念されるのが「治安の悪化」だ。こうした問題を解決しようと始まったのが「ビルの終活」だった。アートによって人が集まり、空白期間を短くすることで、解体予定の建物にも集客することができ、街に活気を生み出せるという。
アート展を主催する東京建物によると、今後マンションが建つ予定で、詳細はこれから決めていくという。イベントは、1月28日まで開催されている。
(「イット!」1月16日放送より)