防衛省は27日、自衛隊による「特定秘密」の不適切な扱いが新たに100件以上確認されたと発表した。
件数が最も多かった不適切案件は、隊員が防衛装備庁を含む他の行政機関から防衛省に人事異動する際に、新たに特定秘密の適正評価を実施しないまま特定秘密を扱っていたり、特定秘密取扱職員に指名されていた事案で、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、統合幕僚監部などで約100件確認された。
防衛省によると、これらの事案の背景として、新たに適正評価を受けなくてはいけないという認識の不足と、防衛装備庁が他の行政機関にあたるという認識の不足があったという。
また航空自衛隊では今年8月、航空作戦の情報収集を行う第4収集隊の幹部自衛官が、特定秘密を含むブリーフを録音して聞き直すように複数の部下に指示し、数名が実際に録音した事案が発生した。この件では2人の幹部自衛官が減給などの懲戒処分を受け、2人の自衛官が訓戒注意を受けた。録音を指示した幹部自衛官は、音声は後に消去すれば問題ないとの認識があったという。
陸上自衛隊では、特定秘密の電子データが、陸幕内でUSBでのコピーを経て共有フォルダに複製され、特定秘密という認識がないまま別の課にも転送されてしまった件が確認された。さらに、陸自システム通信サイバー学校で特定秘密文書1件が、適正な手続きなく保管された後、誤って廃棄された事案も確認された。この案件では、2人が停職や減給の懲戒処分を受けた。
いずれも「特定秘密」の部外への流出は確認されていないという。
防衛省は、今回の調査について「これまでの再発防止策が本質的な問題に切り込まない表層的なものとなっていたのではないかという問題意識」を持って実施したとした上で、「真に実効性のある再発防止策」と構築するとしている。