18年前に兵庫県たつの市で女の子が刃物で刺された事件で、別の事件で服役中の男が11月7日、逮捕された。

なぜ、18年前の事件が動き出したのか。 関西テレビは当時の捜査員らを取材。捜査が難航していた理由を探った。

【動画】服役中の男を逮 18年前の「未解決事件」動く 元捜査幹部たちが明かす“真相”「特異な性癖に基づく犯行」指摘された勝田容疑者

■18年前の未解決事件が動き出す

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18年前の未解決事件が11月7日、ついに動き出した。

フードを目深にかぶり警察署に移送された男。殺人未遂の疑いで逮捕された勝田州彦容疑者(45)。

2006年、たつの市の路上で、小学4年の女の子(当時9歳)の胸などを刃物で刺し殺害しようとした疑いが持たれている。

勝田州彦容疑者:女の子を刃物で刺したことに間違いありません

警察の調べに対し、このような趣旨の発言をしているということだが、殺意については否認している。

事件直後、子供の安全対策に取り組んだ、当時のたつの市の教育長は…

たつの市 事件当時の教育長 苅尾昌典さん:安心というか、すごいなと思った。継続的な捜査で捕まったことは。(被害者の父に)一番に電話しましたよ。『良かったな』って言ってね。(容疑者には)正直になぜしたかっていうことを言ってもらいたいし、心から謝ってもらいたい。

■「特異な性癖に基づく犯行」裁判で指摘された勝田容疑者

勝田容疑者とは一体どのような人物なのか。

学生時代を兵庫県加古川市で過ごした勝田容疑者。19歳のころ海上自衛隊に入隊しましたが、4カ月で辞め、その後大きな転機が訪れる。

2000年に明石市で下校途中の女の子の腹を殴った疑いで逮捕。

2015年には、女子生徒(14)の胸などを刺し重傷を負わせた。その罪を問われた裁判では、勝田容疑者の動機について裁判長は次のように指摘した。

裁判長:少女の腹部を刺して、『シャツが血で染まるのを見たい』という特異な性癖に基づく犯行。

その後、2004年に岡山県津山市で帰宅直後の女の子(当時9歳)を殺害した罪にも問われることに。この事件で2022年、無期懲役判決を受け服役中だったが、ことしに入りたつの市の事件への関与を認めたという。

さらに、2007年10月、兵庫県加古川市で当時小学2年生だった女の子が自宅前で何者かに胸と腹を刺されて死亡した事件。 未解決だったこの事件についても、勝田容疑者は関与を認めていることが分かった。

■兵庫県で起きた2つの未解決事件 捜査の裏側

兵庫県内で起きた2つの未解決事件。 勝田容疑者が捜査線上にあがることはなかったのか。

関西テレビは当時の捜査幹部5人を取材。見えてきたのは検挙したくても踏み切れなかった捜査の裏側だった。

-Q.(「逮捕へ」の)報道を見てどう思いましたか?
元捜査幹部:朝、新聞を広げてびっくりした。落ち着かない一日でした。

こう語ったのは、たつの市の事件発生当時、捜査に当たっていた幹部。 たつの市の事件では、警察は事件後に現場付近で不審者が映った防犯カメラ映像を公開し、情報提供を呼び掛けていた。

元捜査幹部:住民が少ない地域だから、誰かはこの人間はこれだと分かるだろうと思っていたんです。とりあえず付近の人には全員見てもらった。でも何の反応もなかった。何のいい話もなかった。それで暗礁に乗り上げた。

目撃情報や物証が乏しく、捜査は難航した。

しかし、別の元捜査幹部らによると、加古川市での殺人事件では、2015年に姫路市での事件で逮捕された勝田容疑者が捜査線上に浮上していたという。

元捜査幹部:どう考えても怪しい。『勝田(容疑者)やろう』とあったけど、否認やし。証拠もない。怪しいけど打つ手がない。

元捜査幹部:犯行時間の“空白の5分”を、一課は埋められなかった。

足りなかったのは確実な証拠だった。2018年に、岡山県での殺人事件で勝田容疑者が逮捕されたときも…

元捜査幹部:勝田というのはポリ(=ポリグラフ検査 捜査で使う記憶の有無を調べる検査)にものすごく反応する。姫路の事件でもそれで検挙したから。ただ加古川の女の子の時だけ全く反応しなかった。そこだけがどうしても踏み切れないところ。

ことし5月ごろは否認していたものの、その後、勝田容疑者が関与を認め、18年の時を経て逮捕という大きな動きに。 当時の元捜査幹部が思うことは…。

元捜査幹部:今はかごの中、どんな心境の変化があったんやろか。

元捜査幹部:カメラの特徴が似てるだけでは逮捕状は出ませんから、今の一課は何か握ってるんでしょうね。

兵庫県警の関係者:捜査員は諦めずによく頑張った。

7日に逮捕され、被害者に対して「申し訳ないと思っている」と話した勝田容疑者。長年、未解決だった事件の真相は明らかになるのだろうか。

■今後の捜査のポイント

当時は証拠が足りず検挙できなかったということだが、今後どのようなことがポイントになるのだろうか。

関西テレビ 神崎博報道デスク:捜査員の中でも、この事件はそもそも目撃が少ないとか、十数年前なので今ほど防犯カメラがあるわけじゃないので映像があるわけでもない。凶器の問題であるとか、客観的証拠があまりにも少ないので、今回逮捕はしましたけれども、本当に起訴にいけるのか。もし起訴したとしても、裁判が維持できるだけの証拠があるのかどうか。そこが一つポイントになると思います。

菊地幸夫弁護士:当初否認だったものが、今ある程度自白しているということですから、自白を補強する証拠があるのか。法律上、自白だけでは有罪にできません。あとその自白の内容が捜査本部しか把握していない、一般に公表されてない、いわゆる『秘密の暴露』というような、犯人しか知り得ないような情報がそこに含まれているかどうか。そのようなところがポイントになってくるんだろうと思います。

捜査の進展が待たれます。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月7日放送)

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