天皇皇后両陛下は6月22日から国賓として英国を訪問される。陛下のイギリスの「思い出の味」を、在日英国大使館のシェフに聞いた。

チャールズ国王は週に数度ベジタリアンメニュー

東京にある英国大使館では、チャールズ国王の6月の”公式誕生日”を祝うパーティが毎年行われている。そのメニューの一部が報道陣に公開された。

英国大使館エグゼクティブ・シェフのフレデリック・ウォルター氏
英国大使館エグゼクティブ・シェフのフレデリック・ウォルター氏
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英国大使館エグゼクティブ・シェフのフレデリック・ウォルター氏は、「今年はサステイナブルであるために、そしてイギリスと日本の有機農業を支援するために、ベジタリアンにすることにしました」と話す。

公開されたのは、枝豆やトウモロコシなど日本で栽培された夏野菜を用いた「野菜天ぷら」、ジュリア・ロングボトム大使のレシピをもとにした「ジュリア大使のキッシュ」、大使館でも朝食としてよく提供されているという、エッグベネディクト「クランペットに半熟卵とオランデーズソースとともに」の3品。

エッグベネディクト「クランペットに半熟卵とオランデーズソースとともに」
エッグベネディクト「クランペットに半熟卵とオランデーズソースとともに」

ウォルターシェフは、「メニューの考案にあたっては、オーガニックフード、有機農業、サステナビリティの先頭に立ってきた、チャールズ3世国王陛下からもインスピレーションを得ています」と話す。

チャールズ国王は長年環境問題や自然保護に関心を寄せ、週に数度、ベジタリアンの食事を取り入れていることを、これまでに明かしている。

一緒に阿波踊りを踊ったこともある天皇陛下とチャールズ国王 2001年5月
一緒に阿波踊りを踊ったこともある天皇陛下とチャールズ国王 2001年5月

両陛下は滞在中、バッキンガム宮殿で開催されるチャールズ国王夫妻主催の晩餐会などに臨まれる。去年バッキンガム宮殿の厨房を訪れたというウォルターシェフは「両陛下の晩餐会はベジタリアンではないと思いますが」と前置きした上で、「オーガニックなものもあれば、サステナビリティを考えたものもあるのではないでしょうか」と話す。

陛下思い出の味「シェパーズパイ」

また、陛下が皇太子時代からイギリス大使館に足を運ばれるたびに、毎回提供される一品があるという。

英国大使館の吉田龍貴シェフ
英国大使館の吉田龍貴シェフ

英国大使館の吉田龍貴シェフは、「いつも皇太子時代に大使館にこられるときは必ずシェパーズパイを出していました」「『イギリスで食べた時にすごく美味しい料理の1つであった』、ということをおっしゃっていただきました」と話す。

ラムのひき肉などを煮込み、マッシュポテトをのせてオーブンで焼く「シェパーズパイ」はイギリスの家庭料理で、学生寮やパブなどでも提供される定番メニューの1つ。

資料映像 シェパーズパイ
資料映像 シェパーズパイ

陛下の元側近は、「懐かしいメニューを召し上がることで、当時の大切な思い出が蘇るのではないか」と話す。

陛下は19日に行われた記者会見で、オックスフォード大学時代の食堂での思い出について「コレッジでは食堂での食事が大切な交流の場となっていました。食堂での席は自由であり、近くに座った者同士が自己紹介し、握手し合っている光景をよく目にしたものです」と振り返られた。

また、皇后さまとも時折オックスフォード時代の思い出話をすることを、ユーモアを交えながらこのように明かされている。

オックスフォード留学中の陛下 1983年10月
オックスフォード留学中の陛下 1983年10月

「オックスフォードの2年間は、私たち二人にとって、本当にいろいろなことがあって、一言ではとても表現できないような日々でした。オックスフォードでのそれぞれの学生生活について、楽しかったこととか、研究の話、あるいはどういった方々とお会いしてどのようなことをしたかとか、そういった話をすることがあります」
「ただ一つだけ避ける話題としましては、オックスフォードで私はマートンに行って、雅子はベイリオルに行ったわけですが、どちらのコレッジが古いかという話があります。これはお互いが自分たちの方が古いと主張していて、なかなか結論が出ないところのように聞いております」

オックスフォード在学中の雅子さま(1988年10月)
オックスフォード在学中の雅子さま(1988年10月)

22日からのイギリス滞在。初めて一緒に訪れる思い出の地で、陛下は皇后さまとともに懐かしい食事や風景を楽しみながら、新たな思い出を作られるだろう。

髙澤 真澄
髙澤 真澄

フジテレビ報道局社会部記者。
警視庁クラブなどを経て2019年から宮内庁を担当。