東京・表参道で6日、女性の健康をサポートする最新技術が展示されたフェムテックイベントが開催され、月経痛緩和デバイスなどの多様な製品に注目が集まった。専門家は、女性特有の健康課題による経済損失を減らすためには、フェムテックと医療の連携が重要と指摘する。

女性の健康問題に対応する技術が集結

東京・表参道で6日、「Femtech Japan 2024/Femcare Japan 2024(フェムテックジャパン/フェムケアジャパン)」が開催され、女性の体と心をサポートするテクノロジーが集まった。

骨盤の筋肉を鍛えるトレーニングボール
骨盤の筋肉を鍛えるトレーニングボール
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リボンやフリルがあしらわれた透け感のある生地が珍しい吸水ショーツに、一見、ピンポン球に見える、骨盤の筋肉を鍛えるトレーニングボールなどもある。

表参道で開催されたフェムケアに関するイベントの様子
表参道で開催されたフェムケアに関するイベントの様子

表参道にある結婚式場、アニヴェルセル表参道で開催されたフェムテック・フェムケアに関するイベント「Femtech Japan 2024/Femcare Japan 2024(フェムテックジャパン/フェムケアジャパン)」。

経済産業省によると、主に“女性特有の健康課題”での経済損失は年間3.4兆円との試算が出ている。その内訳は、女性特有の「月経随伴症」約0.6兆円、「更年期症状」約1.9兆円、「婦人科がん」約0.6兆円、男女双方の「不妊治療」約0.3兆円となっていて、女性が働きやすい環境作りが企業でも求められている。

イベントには約50の企業と団体が参加し、女性特有の健康課題に関するセミナーや、その場で購入も可能なフェムケアアイテムの展示スペースが設けられた。

「月経痛緩和デバイス セラフィナF」をレポートする倉橋記者
「月経痛緩和デバイス セラフィナF」をレポートする倉橋記者

倉橋玲子記者:
パットをおへその下に貼って電流を流すことで、生理痛緩和が期待できます。

コンパクトでどこでも使用可能な月経痛緩和デバイス
コンパクトでどこでも使用可能な月経痛緩和デバイス

富士メディカルサービスの「月経痛緩和デバイス セラフィナF」は、電気で感覚神経を刺激し痛みを軽減。薬を服用できない人でも気軽に使用できるという。また、コンパクトでどこでも使うことができ、6つのモードと、その時の痛みに合った強さに調整ができる。

パッドを貼り付けて使用する月経痛緩和デバイス
パッドを貼り付けて使用する月経痛緩和デバイス

富士メディカルサービス販売管理部部長・増田雅さん:
生理痛で苦しんでいる方は多く、痛みを外に発信できない方もいると思うので、そういった困っている方々に、この機器を使っていただけたらと思う。

全身をお湯で包んでくれるU字型のシャワーヘッド
全身をお湯で包んでくれるU字型のシャワーヘッド

一方、NITTO CERAの「SHIN-ON(シンオン)」は、湯船に浸かりたくても浸かれない時に、U字型のシャワーヘッドで全身をお湯で包んでくれる。自宅で簡単に取り付けられ、従来のシャワーヘッドよりも、ポカポカ感が持続するという。

お互いの理解を深められる「セキララカード」
お互いの理解を深められる「セキララカード」

さらに、男性とコミュニケーションを取りながら悩みに向き合っていく株式会社セキララカードの「セキララカードカップル」というカード型の商品。書かれたお題について対話することで、普段言えないことや、思いなどを伝えるきっかけになり、お互いの理解を深められるという。

フェムテック・フェムケアに関するイベントの会場の様子
フェムテック・フェムケアに関するイベントの会場の様子

Femtech Japan College代表 野口俊英さん:
生理をはじめ、女性の問題となると女性が取り組めば良い、男性は関係ないっていうのが今までの通説だったと思うが、男性こそ積極的に取り組むべき課題かなと思う。
(今後は)それぞれのエリアの地元企業や百貨店とかとタイアップして、日本全国にフェムテックのセミナーイベントとかできる機会を増やしていきたい。

フェムテックは健康向上の一つの手段

「Live News α」では、産婦人科専門医の稲葉可奈子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
女性特有の健康課題に寄り添う新しい製品、稲葉先生は、どうご覧になりますか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
最近、女性のヘルスケア向上に取り組む企業が増えてきていて、とてもよい変化だと思います。いくら男女共同参画といっても、男性と女性では、身体的な違いがあります。

女性だけが経験する生理や、妊娠出産などを、負担と捉える方も多いかと思います。それを仕方がないこととせずに、なるべく、その負担を少なくすることが女性の活躍推進に繋がります。

堤キャスター:
フェムテックへの関心も高まっていますよね。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
女性特有の健康課題による経済損失は、年間3.4兆円ほどともいわれていますが、それを失わずに済む方法があるということを知っていただきたいです。

損失せずに済む方が、女性自身はもちろん、社会にとってもベターですよね。ただ、その解決のためには、ある一定、医療でないと改善しないものがあります。

フェムテックだけで健康課題を解決できると思ってしまうと、本来の必要な医療から遠ざかってしまい、解決できるものもできなくなってしまいます。

医療とフェムテック両方の活用を

堤キャスター:
具体的には、どんなケースがあるのでしょうか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
例えば、生理の出血が漏れることを心配しないでいいように、というフェムテックがありますが、生理の量が多すぎる場合は、知らないうちに貧血になってしまうこともあります。

これは治療が必要なので、かかりつけの産婦人科に相談していただきたいと思います。かかりつけの産婦人科があると、生理痛を軽減する治療の相談もできますし、さらには、「妊活をいつ頃したい」とか、「これは更年期の不調なのか」など様々な相談ができます。

フェムテックが誕生した欧米では、初潮が来たらかかりつけの産婦人科医を持つのが当たり前となっています。その上で、より快適になるためのツールとして、フェムテックがあると捉えると良いと思います。

堤キャスター:
身体には性別によるものだけでなく、個人による差もあります。まずはこのことを理解すること、そして、時には人や製品の力を借りながら、健康と向き合っていくことが大切なように思います。
(「Live News α」6月6日放送分より)

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