埼玉県で29日、タクシー運転手が後部座席の男に拳銃のようなもので腹部を撃たれる強盗事件が発生。現場近くの防犯カメラには、事件直前の現場近くを走るタクシーと、発砲のような乾いた音が記録されていた。男は現在(5月30日17時時点)も逃走中だという。
「拳銃で撃たれた」タクシー強盗が発生
埼玉・川口市の路上で5月29日の夜、停車したタクシーの車内で強盗事件が発生。72歳の男性運転手が、後部座席の男に拳銃のようなもので腹部を撃たれた。
この記事の画像(11枚)防犯カメラには事件直前に現場近くを走るタクシーの様子が映っていた。タクシーの後部座席には男とみられる人物が乗っているのがわかる。
その後、タクシーは通りを直進して右折。発砲とみられる音がしたのは、この約40秒後のことだった。
警察に通報があったのは、5月29日の夜11時40分ごろ。「運転手が出血している。拳銃で撃たれたと言っている」という通報を受け、現場に警察官が駆けつけると、腹部から血を流している運転手を発見。病院へ搬送されるとき意識はあり、会話ができる状態だったという。
タクシーという密室で事件が起きるまで、何があったのか?これまでの調べでは、男は客として東京・北区のJR赤羽駅周辺で乗り込み、現場近くに行くよう指示していたという。
そして、タクシーから降りる際に「金を出せ」などと要求。後部座席から運転席に向けて、発砲したとみられている。
逃げた男の年齢は50~60代。黒い帽子をかぶり、黒い半袖シャツに長ズボンを履いていたという。男は今も逃走している。
男は暴力団関係者?3つのポイントから見る事件
埼玉・川口市で起きた「タクシー運転手が男に拳銃のようなもので打たれた事件」について、取材記者歴20年の上法玄解説委員と見ていく。
事件のポイントは3つある。
(1)車内で一体何が起きていたのか?
(2)なぜ拳銃を持っていたのか?
(3)現在も逃走中。捜査はどこまで進んでいるのか?
強盗目的で拳銃を“脅す道具”に使うケースは多々あるが、実際に人に向けて発砲するケースは珍しいという。では、どのような状況で発砲したのか?
上法玄解説委員:
タクシードライバーのおなかに、少なくとも1発発砲しているのですが、付近の防犯カメラ映像によりますと、車が現場付近を通ってから発砲音がするまで約1分しかかかっていない。犯人は極めて短時間のうちに発砲にいたったというふうに言えると思います。
また、タクシーの内側から「殴っている人がいる」という目撃情報もあった。このことから、タクシーから犯人が降りる際に、ちょっと手間取った可能性もあると考えられます。
そして、なぜ拳銃を持っていたのか?上法玄解説員は「そもそも拳銃を入手するのは極めて難しいと言われている」と話す。そうなると、犯人像として、男は暴力団組員あるいは暴力団関係者の可能性があるという。
上法玄解説委員:
近年、暴力団撲滅に向けた警察の捜査は非常に厳しくなって、そのため、暴力団をやっていても生活できないという人がかなり増えてきている。なので、組織から離脱する暴力団組員は年々増えている状況です。今回の男も50~60代ということですから、組織から離脱して、社会復帰するタイミングを逸してしまった暴力団組員の可能性もあるのではないでしょうか。
現在も男は逃走中で、埼玉県警では捜査員60人体制で捜査すると発表している。これは比較的“大規模”な捜査だと言える。
男がタクシーを乗り降りしたのが赤羽と川口という繁華街で、防犯カメラが無数にある場所。そのため入手した映像を分析して、犯人の動きをたどり、どこへ逃げたのか、どこから来たのかを徹底的に調べ、できるだけ早く犯人を逮捕したいという意気込みが、60人体制の大規模捜査から伺えるという。
(「イット!」5月30日放送分より)