熊本・荒尾市の住宅に設置された防犯カメラ映像。帽子やマスクで顔を隠した男たちが一軒家に侵入し、まるで住人がいないことを知っているかのように堂々と物色し始めた。

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5月21日までに住居侵入と窃盗の疑いで逮捕されたのは、大阪府のアルバイト、山下貴大被告(34)ら4人の男たち。被害者宅に設置された防犯カメラが犯行の一部始終をとらえていた。

“仰天手口”住民の動きを察知か

2022年2月の防犯カメラ映像。早朝、黒いニット帽にあごマスク姿の男が家の前の道を通り過ぎた。

家の前を何度も行き来し、下見する男たち
家の前を何度も行き来し、下見する男たち

30分後、今度は別の男と共に同じ道を歩いて来た。その後も何度も行き来し、下見をする男たち。

そして約4時間後、家の門扉を開けて入ってきたのはその男たちだった。被害に遭った男性によると、当時家には妻がいたが、妻が出て行ったところに泥棒が入ったという。

慌てて外に出て行く男たち
慌てて外に出て行く男たち

男たちがまず向かったのはリビングルームだった。警戒するそぶりもなく、約10分間室内を物色し、黒いかばんを手に取ると「出て出て出て!」と声を上げ、突然、慌てて外に出て行った。住人が帰宅したのはその数分後のことだった。ビジネスバッグやタブレット端末など、約7万円相当の被害に遭った。

車の裏に“GPS”取り付け

男たちは、なぜ住人の帰宅を事前に察知できたのか。被害に遭った男性によると、防犯カメラ映像には妻の車の方に回り込んでしゃがみ込む男の姿が映っていたという。

妻の車の裏にGPS機能付きのスマホが貼り付けられていた
妻の車の裏にGPS機能付きのスマホが貼り付けられていた

車の裏にはGPS機能付きのスマホが貼り付けられていた。男性は、「私の車と妻の車と2台あるわけですよね。それなのに泥棒は妻の車だけにしか追跡装置(スマホ)をつけていない」と話す。一体どういうことなのか。

実は、被害にあった当時、男性は出張で家を空けていたという。元埼玉県警捜査一課刑事の佐々木成三氏は、「つまり、そこ(家)には妻しかいないと。夫は出張中、家にはいないということを知っていての犯行には間違いない」とみている。

妻が車で出かけた後、不在を確認し家に侵入。さらに、妻が戻ってくるタイミングをGPSで事前に察知していた可能性が高い。しかし、周到な犯行かと思いきや、佐々木氏は「(防犯カメラに)もう堂々と映ってる。プロの下見であれば、防犯カメラがどこにあるかそこまで見るんですけど、犯行については素人」と指摘する。

警察によると、4人のうち2人は初対面で、「指示役」から連絡を受け集められた、いわゆる「闇バイト」とみられている。

男たちは、関西から約700キロ離れた熊本まで一台の車で遠征し、犯行に及んだという。熊本県警荒尾署の小佐田貴栄刑事課長は、「被疑車両がいわゆる大阪のナンバーでしたので、向こう(関西地方)からバッと乗り込んできて、ババッと犯行した後に戻るというような」と話す。

被害に遭った男性は「やはり一番憤りを感じているのはこれを計画した首謀者。必ず、警察の方が逮捕してくれると信じております」と話している。
(「Mr.サンデー」5月26日放送より)

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