働いていなくても、こどもを保育園などに預けられる制度が始まる。2歳以下のおよそ半数が通園していない京都市。子育て環境の改善につながるのか、取材した

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京都市・松井孝治市長:育児の苦労に直面している方がいると思う。制度が拾い切れていなかった方にまずは利用してほしい

京都市が発表したのは、新たに始まる「こども誰でも通園制度」。これまで、親が一定時間以上働いていないと保育施設を利用できなかったが、この制度では、”親が働いていなくても”時間単位で、保育園や幼稚園などに子どもを預けられるようになる。

国が掲げる「異次元の少子化対策」の一環として2026年度から実施が予定されているこの制度。 2024年度、各地で試験的に導入されていて京都市では7月から、13の施設が受け入れを始めるのに先駆け24日、利用者の募集が始まる。

去年8月、モデル事業として導入した福岡市。制度を利用した人は…

こどもを預けに来た親:この日に病院に行ってしまおうとか、家のことをちょっとでもしようとか、自分のリラックスタイムとか取れて凄い良かったです

こどもを預けに来た親:こどもが他の子と触れ合うので、しゃべることが多くなりました言葉が

 保護者からは好意的な意見が聞かれる一方で、負担が増すのが、保育の現場だ。

保育士:集団生活を毎日しているお子さんよりはちょっと難しい面も多いかなと思います。やっぱり(保育園に)慣れるまでには凄い時間がかかる

保育士:(食事の)アレルギーのお子様の対応がすごく難しくて、どうしても週に一回だと誤食とかあっちゃいけないので

さらに大きな課題となるのは「保育士の確保」だ。保育士不足が叫ばれる中、京都市はどのように考えているのか。

京都市・松井孝治市長:(Q.保育士の人手不足へのアプローチは決まってる?)人手不足に拍車をかける面があるかもしれない。(Q.保育士の処遇をどうよくしていくか?)京都市の厳しい財政を預かる立場で歯切れのいい答えはできないが、少しずつ前進していきたい(Q.他の自治体も順次取り組んでいくと思うが京都市はこの制度にどういうビジョンを持っていますか?)自治体間競争、切磋琢磨は大事だけど、子育てという分野でどこかが抜け駆けしてどこかから住民を取るということはあまり好まない。横の(自治体同士の)連絡をよくし、それを中央にもつないで、制度全体をもう少し充実していくために何ができるかを考える

福岡市の事例だと、例えば週1回の利用だと週5回で利用しているお子さんに比べて「慣れるまで時間がかかる」という声があった。ピンポイントで利用するお子さんについては、食事面でのアレルギーケアの対応が難しいという声が聞かれた。

そして、気になる利用料についてだが。 園児1人が1時間利用する想定だと保護者が300円以内を負担して、福岡市が850円補助をするということだ。 この受け入れをしている保育園の方に聞くと、「この300円と850円、単純計算で足して時給1150円で採用するのは難しい」という声が聞かれた。 子ども誰でも通園制度自体は大変良い取り組みだが、保育士さん・保育園の皆さんの負担が大きいのも事実だ。

今回の制度、政府の「異次元の少子化対策」の1つとして実施されていくわけだが、その財源は公的な医療保険を通じて集める。医療保険の加入者1人あたり平均で、2028年度で月額450円負担するということが試算されている。

関西テレビ・神崎博デスク:異次元の少子化をどうやって解決するのか、というところで、本当はこれ税金で進めたかったところだと思うんですけど、税金であれば増税感というハードルがあって難しい。政府としては医療保険の上乗せという策に注目したのでしょう。当初の説明では『実質負担増はないですよ』という話もありましたが、それも大きな話で言うとそうなのかもしれませんけど、非常に分かりにくいです。その次に『ワンコイン500円でいけます』と。確かにそれが実現する人もいますが、所得によっては、もっと負担が大きい場合もあります。負担が増えるなら増えるで説明が求められると思います

(関西テレビ「newsランナー」4月12日放送)

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