春から秋にかけてマダニの活動が活発になる。マダニが媒介する感染症「SFTS」に注意が必要だ。注意するのはヒトだけではない。ネコからヒトへの感染事例も報告されていることから、ペットにダニがついていないかのケアも必要だ。専門家に対策を聞いた。

2023年、国内で初めてヒトヒト感染確認

マダニが媒介する感染症「SFTS」正式には「重症熱性血小板減少症候群」という感染症。ウイルスを持ったマダニにかまれることで感染する。2023年、国内で初めてヒトからヒトへの感染が確認されたというニュースも記憶に新しい。

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宮崎県内でSFTSに感染した人は2013年以降、累計で109人。なんと宮崎県が全国で1番多い。そして、これまでに29人が亡くなっている。

ヒトが感染した場合、発熱や食欲不振・下痢などの症状が現れ、重症化すれば出血症状・意識障害・呼吸不全などに陥り致死率は約30%と言われている。ワクチンなど確立された治療法もない。

ネコからヒトへの感染も確認されている

そして、この病気はヒトも動物もかかる感染症だ。県内ではネコがSFTSに感染するケースも増えていて、専門家はネコをはじめペットから人への感染にも注意を呼びかけている。

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹副センター長:
宮崎県内でネコからヒトに感染する事例もあったため、新しい感染ルートとして改めて理解してほしい。明らかにSFTSが広がっている印象を受けるデータを得ている。

さらに、「SFTSが陽性であるというネコで、地域ネコという形で家では飼っていなかったが、陽性判明後に行方がわからなくなったという報告を受けている。ネコからヒトへ感染するリスク、ネコから他の動物へ感染するリスクも否定できない。マダニは山や林、公園にもいる。どこにでもいると考えて十分だ。自然が近いということをよく知った中で生活することが重要」と話す。

SFTSにネコが感染すると、元気消失・食欲不振・発熱・黄疸(おうだん)などの症状が現れる。致死率は人の2倍、約60%に上る。感染したネコの 目やに・排せつ物に人が触れることで感染するルートもある。

宮崎県内のネコのSFTSの感染状況は2023年度26件で、前年度の約5倍。1月から3月では2023年2件だったのに対し、2024年は既に8件確認されている。

マダニは春から秋にかけて活動が活発化する。ヒトだけではなくペットも注意が必要だ。

視聴者の関心高く 多くのメッセージが

宮崎市60代女性 いつも笑子さん:
知人が庭でマダニにかまれ、とても腫れてひどくなった状態を見たことがある。自宅の庭でもどこでも危ないと思っている。外に出る時には素足や半袖のまま出ることを避けて、しっかり防御しないといけない。

都城市40代男性 みーくん:
私は今からの時期タケノコ掘りに山に行く。山から帰る際、車に乗る時はすべて着替えビニール袋に入れて持って帰る。そのまま乗ると子供たちもいるのでダニにやられるのを防ぎたい。

宮崎市50代女性 宮崎ママさん:
SFTSに感染した家族の看病を経験したためマダニを大変気にしている。ダニにかまれた後は、体を調べても分からなかったが、血液検査の結果SFTSと診断され、病院で隔離。面会も出来なかった。コロナのさなかでもあり、とても大変な思いをした。

日向市40代女性 ちゃこまむさん:
うちの猫は外歩きをするので心配。一緒に寝るのだが、春先は私までかゆみが出てしまうため対処法を教えてもらえたらうれしい。

感染リスクを減らすには

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹副センター長:
ペットは家の中で飼うことが望ましいが、外に出た場合はブラッシングなどでマダニがついていないかチェックすることが大事。庭仕事や散歩など外で作業する際は、長袖・ズボン・手袋などで肌を露出しない。首にはタオルを巻く・虫よけスプレーをするなど、ダニにかまれるリスクを減らすことが大事。

では、もしマダニにかまれてしまったら…

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹副センター長:
手で無理に取ろうとしない。マダニをつぶしてしまうとウイルスが飛び散って感染する可能性がある。かまれたまま皮膚科や動物病院に行って処置してもらう。

では、ペットがSFTSに感染してしまったら…。

宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹副センター長:
動物病院への隔離入院を勧める。しかし病院に隔離施設があるかなどの課題があり、自宅隔離を行った飼い主の例もある。ただヒトにも感染する致死率の高い感染症なので、今後は公衆衛生の観点から、行政などによる隔離措置といった制度設計が急務だと考えている。

宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターではペットの無料検査を行っている。 心配な場合は動物病院を通して検査依頼を。 気をつけることで感染リスクは減らせる。暖かくなり外に出る機会も増える中、注意が必要だ。

(テレビ宮崎)

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