北陸新幹線の延伸開業により、東京 - 敦賀間が乗り換えなしでつながった一方で、不便になったこともある。北陸から関西や名古屋方面に向かう場合、これまでは在来線の特急列車1本で移動できたのが、敦賀駅での乗り継ぎが必要になったのだ。
そんな中、福井と名古屋を結ぶ「高速バス」の需要が増加している。新幹線開業後は満席が増えているということで状況を取材した。

バスか新幹線か 判断材料は3つ

北陸新幹線が福井県内で開業してから4日後の3月20日にJR福井駅のバス乗り場に行ってみると、名古屋へ向かう直通バスに列ができていた。利用客たちにバスを選んだ理由を聞いてみると「バスは安いから」「新幹線は高い」という声が返ってきた。

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福井鉄道や京福バスなど4社が運行する、福井 - 名古屋間の高速バスの運賃は片道3600円だ。一方、鉄道で移動する場合は、新幹線と特急の利用で普通席の運賃が片道6960円と、バスの2倍ほどになる。ただ所要時間は、高速バスが約2時間50分、鉄道が2時間10分とバスの方が約40分長くなる。

料金や移動時間に加えて、利用者にとってもう一つの判断材料となるのが、乗り換えの必要性だ。鉄道で中京方面に向かう場合は、北陸新幹線の当面の終着駅、敦賀駅で特急に乗り換える必要がある。

高速バスの利用者に鉄道では敦賀乗り換えが必要なことについて聞くと、「帰りは電車で帰ろうと思っているんですけど、乗り換えが分からなくて…」と戸惑う声や、「こんなこと言ったら駄目かもしれないけど(新幹線利用だと)面倒くさいし時間がかかる」と乗り換えへの不満の声が出てきた。

“乗り換えなし”がカギ?予約増加

こうしたことを背景に高速バスを運行する4社は、福井 - 名古屋間の高速バスの需要を見込んで、新幹線開業前に1日8便から10便に増やしたところ、週末を中心に満席となる便が目立ってきた。

福井鉄道・惣宇利健善常務:
春休みに入るので(大学生が)名古屋で新たな下宿先の準備などで利用することが例年増えている。ことしはそれ以上に利用者が増えていると感じる。

今後はビジネス利用の拡大にもつなげようと、ビジネス客の要望に応じて出発時間を調整した。

福井鉄道・惣宇利健善常務:
新幹線という新たな交通手段ができた中で、乗り換えなしの直通で行けるということで、北陸新幹線の開業以降もかなり予約が入っている。ビジネス客は9時までに名古屋に着く便の利用が目立つ。

新幹線開業の裏で「安くて直通」の高速バスも、改めて注目されている。

(福井テレビ)

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