濃霧に覆われた高速道路で起きた、48台もの車が巻き込まれた多重事故。1人が死亡し13人が重軽傷を負ったこの事故はなぜ起きたのか?現場にかけつけたレッカー車のドライブレコーダーの映像と、急激な気象の変化を目撃していた近隣住民の証言などから、検証する。

視界は10メートル

3月1日午前8時半過ぎ、長野県小諸市の上信越自動車道上り線で多重事故が発生した。

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事故発生を受けて、レッカー車を運用するロードサービス会社・レスキュー長門の三枝耕太さんは事故現場に向かった。

現場に向かったレッカー車のドライブレコーダーを見てみると、事故発生から約1時間後の午前9時31分には、空には晴れ間が見えていた。

しかし、現場に近づくにつれ、突如、霧が出現し視界がみるみる悪くなっていった。三枝さんは、「現場の直近になるともう本当に前が見えないぐらいの霧が発生していた」と証言する。

ドライブレコーダーには、反対車線で止まる前方が大破した車や救急隊員らしき姿など、事故を起こした車が、列を成すように止まっている映像が記録されていた。

現場では、およそ2キロに渡り、20件ほどの事故が発生。合わせて48台もの車が巻き込まれた。

事故当時は、50キロの速度制限がとられていたというが、現場にいた運転手は「霧でほとんど視界が見えなかった。止まったところに後ろから大型トラックが突っ込んできた」と話す。また別の運転手は、「前方20~30メートルくらいの視界で、やばいなという状況だった」と証言した。

またドライバーの視界を遮る霧は、徐々にではなく、急激に発生したことがわかった。

30分で発生した濃霧…注意報は1時間後に

事故現場近くの住民に当時の霧について話を聞くと、「午前8時半から9時くらいが一番霧が濃かった。その30分間が一番濃かったと思います」と証言した。別の住民は、「もう初めてくらい濃かった。ひどかったよ。ほんと10mぐらいしか見えなかったよ」と話す。

住民によると、この濃霧はわずか30分間ほどの短時間で発生したという。

だが、長野地方気象台が濃霧注意報を発表したのは、事故からおよそ1時間たった午前9時25分だった。

レッカー車を運転する三枝さんが、霧が晴れるのを待って作業を始めたのは、事故から3時間ほどが経過した午前11時頃。そのときの光景について、「前後からグシャっと潰されたような形になっていて、車体が2mぐらいになっていた」と話す。

また事故原因については、「みんな多分事故を見て、びっくりしてブレーキ踏んで、減速したところの後ろからバーンって突っ込まれて。どうしても霧で発見が遅れて、ブレーキが間に合わなくて、ガシャンっていうのが多いのかなと」と推測した。

急激な霧は地形のためか

なぜ急激に霧が発生したのか?防災科学技術研究所の山口悟氏は、「盆地なので寒い空気がたまりやすい地形という理由が一つあります。前の日ぐらいからみぞれが降っていたということで、そもそも霧の元となる湿度が非常に高かった。さらに、風が非常に弱かったので、霧が発生してもその場所には留まっていたとみられます」

濃霧での走行は、十分な車間距離をとるほか、徐々にスピードを落として急ブレーキを避けるなど、注意が必要だ。

Mr.サンデー
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