新型コロナウイルスが酒蔵にも影響

古来から日本人に愛されてきた日本酒が今、かつてない苦境に立たされている。
そんな中、日本の三大酒処に挙げられる広島の酒蔵が立ち上がった。

中国山地の山間、広島・神石高原町油木で、約300年前の江戸時代から酒造りを営む「三輪酒造」。
老舗の酒蔵も、新型コロナウイルスの影響から逃れることはできなかった。

三輪酒造・三輪裕治社長:
新型コロナウイルスで、僕らの環境も急変したんですよね。飲食店さんがなかなか営業できなくなってしまった状況なので。うちはいうと、本当に4月・5月は売り上げが5割減くらい

緊急事態宣言による外出自粛で、自慢の酒の出荷もままならなくなった。

三輪酒造・三輪裕治社長:
(冷蔵庫は)こんな感じ…

ーーたくさんありますね

三輪酒造・三輪裕治社長:
うん。ぼちぼち動き始めてはいるんですけど…

飲食店が軒並み休業となり、行き先を失った夏向けの日本酒は、冷蔵庫に山積みにされていた。
こうした現状に三輪さんが立ち上がった。

タウン情報誌が日本酒特集で応援

県内の酒蔵の危機的な状況を耳にして、応援する動きも出ている。
グルメや地域情報を取材し、タウン情報誌を出版する「TJ ひろしま」。
8月号の特集に広島の日本酒を選んだ。

TJ ひろしま編集部・平谷尚子さん:
過去に2回ほど広島の日本酒の特集をしてるんですけど。2回やる中で、酒蔵さんとのやり取りが生まれたりしていて。普段だったら10月の酒祭りとか、その蔵開きとかに合わせて特集をしていたんですけども、少し早いけど夏に。夏の日本酒を家で飲むみたいなことを、紙面を使って応援できないのかなと思って

仕事を終え、社内の一室に向かった平谷さん。
スマートフォンをスタンドに固定し始めた、アプリを使ってのライブ配信。

TJ ひろしま編集部・平谷尚子さん:
お疲れ様です。きょうはよろしくお願いします

一緒に中継をしているのは、県内の酒蔵有志が集い結成された広島研酒会。
その幹事長を務めるのが、三輪酒造の三輪裕治さん。
研酒会は、これまでも全国に向けて広島の日本酒をPRしてきた。

今回は、「HIROSHIMA SAKE TALK(広島酒トーク)」と銘打ち、2つの酒蔵をつないでライブ配信する、その告知だった。

広島研酒会・三輪裕治幹事長:
4月からなんですけど、一般の方へアピールするイベント等ですね、開催できなくなってしまったと。そんな中で広島の酒蔵をもっと知ってもらおうというところで、SNSを使ったアピールですね。今回、具体的にはインスタグラムの動画配信で広島の酒蔵を知ってもらおう

7月11日、ライブ配信初日。

広島研酒会・三輪裕治幹事長:
この前 リハをして、問題点全部洗い出したので、きょうはいいのができると思います。僕が思うに、酒蔵は環境とともにあると思うので、風土とか気候とかね。その辺もきょうはインスタライブで表現できたら面白いんじゃないかなあと思いますね

酒蔵同士がコラボしてインスタライブ配信

広島酒トークの先陣を切って生中継する酒蔵が、福山市神辺町にある「天寶一」。
北広島町の小野酒造と一緒にライブ配信する。

約1時間のライブ配信を前に、最後の打ち合わせ。
中継では蔵の紹介に加えて、お互いの夏酒を蔵元自らが、飲み合い、日本酒の飲み方も提案する。

天寶一・村上康久社長:
蔵見学も全てをお断りというか、これも来れなくなったんで。少しでも、蔵がどのような感じで酒が作られてるのかっていうところを。私も2年前や去年、今年といろんなとこで変えてきたので、そういうところも、道具ひとつにしてもみなさんにお伝えできたらなと

そして、午後6時。
酒蔵の思いを込めた広島酒トークが始まった。

小野酒造・小野晃社長:
今 映っているのがうちの田んぼになります。
私が育てている稲なんですけれども中手新千本です。青々として十分に育っております。では今から蔵に向かいたいと思います

天寶一・村上康久社長:
もう本当に目の前なんですね。歩いて20〜30秒くらいね

伝えるのは酒蔵の日常。
蔵元たちの素顔が見えると酒の味わいもまた変わるのではと考えた。

ーー視聴数は?

広島研酒会・三輪裕治幹事長:
77人。まあまあいい数字だと思いますよ

ライブ配信では酒の紹介だけでなく、蔵の紹介や地域の風土も伝える。

天寶一・村上康久社長:
こっちは南側100m級の山が連なってるんですよ。パッと見たらあの海沿いじゃないって思われんですけども、実はうちは海に非常に近いです。こっちが北側なんですけどね、裏が芦田川に流れる高屋川が流れている

そして、ライブ配信を締めくくるのは…

天寶一・村上康久社長:
老亀純米吟醸ですね

小野酒造・小野晃社長:
私は天寶一さんの夏潤米

お互いの夏酒の利き合い。外出自粛で家飲みの楽しみ方を提案する。

小野酒造・小野晃社長:
昨日これと、夏野菜のオリーブかけをちょっと一緒に飲んでみたんですよ。夏野菜のあの甘味って言うか、フレッシュさがすごく引き立つお酒だなと思いました

天寶一・村上康久社長:
すごく綺麗ですね、味が。

小野酒造・小野晃社長:
うちの純米吟醸って、ワインのスプリッターってあるじゃないですか、ちょこっと炭酸で割ってもらうと、甘い香りがシャープな香りになって、すごく飲みやすくなる

広島の日本酒の魅力を詰め込んだ、約1時間のライブ配信が終わった。

広島研酒会・三輪裕治幹事長:
蔵元の案内で蔵見学できるって言うのは1つ、すごく面白いと思うんですね。最後、きょう天寶一さん屋上に上がってきて、周りの景色見ながら相手の酒を飲んでやるということで、自然と共に酒蔵はあると思うんで、やっぱりそういうのが伝わったんじゃないかなと思います

大幅な売り上げ減少で、窮地に立たされる地方の酒蔵。日本人の生活を長らく潤してきた酒文化を救うため、家飲みでも夏酒をまずは一献いかが。

(テレビ新広島)