避難者が不安を抱えている2次避難所の退去期限が迫る中、石川・金沢市内の不動産会社で問い合わせが相次いでいるのが「みなし仮設」だ。しかし、いま避難者や不動産会社からは、みなし仮設について疑問や困惑の声が上がっている。

避難者の応急的な住まいは3つ

2次避難所にいる避難者などの応急的な住まいの1つ目が、「仮設住宅」だ。石川県は3月末までに3,000戸を着工すると言っているが、完成にはまだしばらくかかる。

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2つ目は、アパートなどの賃貸住宅「みなし仮設」だ。石川県内に4,500戸、富山・福井・新潟に3,700戸が用意されている。そして、3つ目は「公営住宅」だ。石川県内に900戸あり、ほとんどは県外だ。

次の住まいとして最も現実的なのは「みなし仮設」だが、ここにも課題があった。

現状認められたのは1件だけ

金沢市内の不動産会社では「みなし仮設」の問い合わせが相次ぎ、いま、被災者の契約件数は289件になった。しかし、ある不安を抱えている。

アーバンホーム・米田早織常務:
どれくらいの方がみなし仮設に通るかは、全く判断がつかないという状態でのお部屋の提供という形になっている

「みなし仮設」の家賃は無料だが、「住宅が全壊した人」、半壊でも「住宅として再利用できず解体する人」、「ライフラインが途絶え長期にわたり住宅に住めない人」などの条件がある。

自分が「みなし仮設」に入れる条件を満たしているか判断するためには罹災証明書が必要だが、自治体の発行が追いつかず、この不動産会社によると、現状認められたのは1件だけだという。

仮に「みなし仮設」と認められなければ、家賃は被災者の自己負担となる。

アーバンホームの米田常務は、日に日に書式や条件が変わるため、「どこに何を取りに行けばいいのか・どの情報が最新なのか」困惑しているという。また、自治体によってやり方が違うということも確認されているといい、“統一化”されることを所望している。

「アパートを移るのはだめと言われた」

輪島市南志見地区から金沢市に集団避難した男性は、みなし仮設の“あるルール”に疑問を抱いている。

輪島市から避難した浜高元一さん:
今、とりあえずこっちに住んでアパートを借りて、後々、輪島の方で空きができたらそっちに行って、そこから仕事がしたいというのも、アパートを移るのはだめだからそれはできないと言われた

浜高さんは、輪島市で自営業をしているため、金沢市で一旦アパートを借りたあと、輪島市近くに別の物件があれば移りたいと考えていたが、移った先は自己負担と言われたという。浜高さんは、ルールを変えてほしいのではなく「その場に応じた柔軟な対応」を切に願った。

被災者の生活を再建するためには柔軟な対応が求められている。

(石川テレビ)

石川テレビ
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