宝塚歌劇団の劇団員が急死した問題で、労働基準監督署が立ち入り調査を行う中、番組は劇団員の「給料の入金記録」や、「レッスンの振り分け表」などを入手。
約10万円で休みなく働く、歌劇団の厳しい労働環境の実態が見えてきた。
最下級生は「先輩の分も」小道具作り
歌劇団の稽古場をとらえた写真に写っているのは、広い部屋に男役とみられるズボンを履いた劇団員ら約30人の姿。
床を見ると、天井の明かりを反射するほど綺麗に磨き上げられていた。
宝塚歌劇団元スタッフの男性によると、1年目の劇団員たちは朝6時ごろから雑巾がけを行っていたという。
宝塚歌劇団の元スタッフ:
大劇場の舞台に近いような大きさの稽古場、教室を、最下級生(1年目の劇団員)は雑巾がけを一生懸命、早朝からやっていました。
5時とか6時から、朝早くからしんどそうな顔でやって、先輩が来たら「おはようございます」と作業を止めて大声で挨拶してというような。
さらに…。
宝塚歌劇団の元スタッフ:
アクセサリー作ったり、稽古場で使う小道具を作成したりとかはしています。労働時間に認められないような作業をたくさんしている。
宝塚の舞台で使う小道具などは、通称は専属スタッフが作成しているが、稽古で使われる小道具やアクセサリーについては、若手の劇団員たちが先輩たちの分も含めて自作しているという。
宝塚歌劇団の元スタッフ:
なんか(公演に)莫大(ばくだい)なお金がかかるんですよね。セットであったり、衣装でだったり。そこは削りようがないので、人件費を削ってるのかなと思いますけど。
稽古期間中の給料は「10万円台」
そもそも宝塚の劇団員は、入団6年目以降はタレントのように業務委託契約を結ぶ。
それまでの学校卒業から5年間は1年ごとの雇用契約を結び、歌劇団の“社員”としての扱いとなっているという。
ボーナスを除いた月収はいくらになるのだろうか。
番組が入手した入金記録によると、入団から数年の若手劇団員の給料は、寮費などが引かれた振り込み額で、13万円台。
これには公演期間中の手当がついていて、公演の準備をする稽古期間中の給料は10万円台だという。
さらに…。
「レッスン受講者 キャンセルや追加希望は本紙上で更新してください」
番組が宝塚関係者から入手した、公演中の劇団員のレッスン受講者の振り分け表を見てみると、1月5日・11日・17日と曜日はバラついているが、週に1度レッスンを受けていることがわかる。
実はこのレッスン日は、週6日の公演を避けた休演日で、実質「休日がない」という。
宝塚歌劇団の元スタッフ:
(私も)1カ月間休みがないっていう状況もあったので、もしかしたら過労死ラインを超えるような(勤務を)してたかもしれないです。
急死した劇団員女性の遺族側は、女性が死亡する直前の1カ月の残業が277時間に達するなど、長時間の業務などが原因で自殺したと主張。
歌劇団も、過密なスケジュールなどで心理的負荷がかかっていた可能性を認めている。
関係者によると、劇団員の死亡を受け、宙組では劇団員らが主体となって半数以上の劇団員にヒアリングを行い、労働環境の是正を求める意見書を提出しているという。
(「イット!」11月24日放送分より)