東京で過去最多!新規感染者224人に衝撃

7月9日、東京都で確認された、新型コロナウイルスの新規感染者数は224人にのぼった。1日の感染者数としては過去最多の数字となり、人々には衝撃が走っている。

都内で新規感染者が200人を超えたのは、緊急事態宣言中の4月17日に206人が確認されて以来。警戒される第二波が現実のものとなってしまうのか。

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東京都の小池百合子知事は9日午後、対策本部を開いて対応を協議した。

東京都 小池百合子知事:
本日(9日)の新規陽性者数でありますけれども、これまで最大の224人となりました。年代別にいたしますと、20代30代の方々が75%を占めております

都内での感染者数は7月2日から連日100人を超え、8日は1週間ぶりに100人を下回った。しかし、7日に行われたPCR検査の件数が、これまでで最も多い3000件を超えていたことから、小池知事も9日の感染者はかなり多くなるとの見通しを示していた。

都が行った9日のモニタリング会議では、専門家の分析として、「先週に比べて40代50代が増加している」「感染経路は接待を伴う飲食店などだけでなく、同居、職場、会食など多岐にわたっている」などの報告があり、高齢者への感染拡大に注意が必要ともしている。

“東京由来”の感染拡大を懸念する隣接自治体

東京都での感染拡大には、隣接する自治体も神経をとがらせていて、埼玉県の大野元裕知事はこのように話している。

埼玉県 大野元裕知事:
埼玉と東京の密接な人の往来などに鑑みれば、東京がここまで増えたというのは極めて憂慮するべき状況であるし、埼玉としても無関係とはもちろん言えないわけですから。大変心配して見ています

大野知事が感染者急増の原因の一つとしてたびたび口にしていたのが、“東京由来”の感染拡大。埼玉県内で感染者が増え始めてから、東京由来の感染が半分を占めるとして、大野知事は都内の繁華街への外出を避けるように呼びかけてきた。

その埼玉県でも感染者が急増している。埼玉県では8日、緊急事態宣言の解除後最多となる48人の感染を確認。このうち10人はJR大宮駅近くの繁華街にあるホストクラブの従業員だった。

さいたま市は「ホストクラブでクラスターが発生した」と発表。この繁華街では、別の飲食店でもクラスターが発生していて、市はこの繁華街にあるホストクラブやキャバクラの全従業員を対象にPCR検査を行うことを決めたばかりだ。

首都圏で広がりつつある感染をどう食い止めるのか。コロナ対策は大きな正念場を迎えている。

入院患者数もここ2週間で倍増

Live News it!のスタジオでは、昭和大学医学部の二木芳人客員教授とジャーナリストの柳澤秀夫さんに話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
224人と一気に増えたこの数ですけれども、どうご覧になりますか?

昭和大学医学部 二木芳人客員教授:
昨日が少なかったので、少し今日に持ち越されたかなというふうには見ていました。いずれにしても200人超え、過去最高の数字になりましたよね。これはやはり多いと思います。夜の街から始まって街の中へといいますか。一般社会の中にどんどん広がりつつある、市中感染が起こっていると捉えなきゃいけません

加藤綾子キャスター:
検査数が増えているからこの数字なんだと納得してはいけないということですか?

昭和大学医学部 二木芳人客員教授:
検査の陽性率を見てみると、少し前までは4.5%くらい。きょうの数字を見ると7%超えですから、やはり比率としても増えているということだと思います

加藤勝信厚生労働大臣は、東京都での感染拡大を受けて、「医療提供体制は直ちにひっ迫する状況ではない」と述べている。ただ、都が現在確保している病床数は1000床。入院患者数は6月20日時点で204人に減っていたが、この2週間あまりで444人倍増している。

都のモニタリング会議では、専門家から「まだ足りているがひっ迫している」「3000床に向けた病床の準備が必要なものの、2週間から4週間かかるため直ちに着手すべき」という指摘もあった。

加藤綾子キャスター:
このままで病床数は大丈夫なのでしょうか?

昭和大学医学部 二木芳人客員教授:
すぐ足りなくなる可能性がありますよね。3月の終わりから4月の緊急事態宣言が出る直前の時を思い出します。毎日100人ずつぐらい患者さんが増えていて、たしか東京都は1000床を用意していたはずです。それをあっという間に超えていきました。それで結局、宿泊療養とか自宅療養が増えちゃったんですよね。ですから大急ぎで、やはり3000床に増やしておく必要があります。3000床に増やすという要求はもうすでに先週から来ているんですけれども、そう簡単にはいかないようですね

国や都の危機感が薄れている?

加藤綾子キャスター:
政府それから東京都は、新規感染者数が増加していることについて、4月とは違うって言うじゃないですか。柳澤さん、これについてはどうですか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
ちょっと危機感が足りないんじゃないかなと思います。東京都の会見でも出てましたけれども、若い人が確かに75%を占めているけれども、40代、50代の感染者が増えてきているということと、どこで感染したか分からない人たちも増えてきている。若干高齢化してきているというところが気になって。高齢化すれば感染症にかかると重症化しやすいと言われる。一度入院すると入院期間が長いから、医療提供体制もあっという間にひっ迫されてしまう。それを考えるとやっぱりもう少し危機感を持って。緊急事態宣言を出す出さないではなくて、具体的に何が今必要なのかということに踏み込んで、対応策を打ち出してほしいと思います

加藤綾子キャスター:
そうなんですよね。4月と違うからなんなのかというところが知りたくて。具体策をもうちょっと示してほしいものですが、風間さんはいかがですか?

フジテレビ 風間晋解説委員:
医療体制が大丈夫というだけではなくて、拡大防止策をどうするんだというのもはっきり説明しなきゃいけないだろうと思います。特に経済を回すことを既定路線でやってきたわけです、国も東京都も。であればこそ、万が一の時の対応計画というものはきちんとできているんですよね、というところを本当に確認したいですよね

加藤綾子キャスター:
そうですよね。国と都の連携がまずしっかりしていただかないと、ちょっとこちらも不安になるなということがありますよね

(「Live News it!」7月9日放送分より)

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