素干ししたものなど、年末年始に食べる機会が多くなる食材「サクラエビ」。しかし、輸入品のサクラエビや別の種類のエビを「駿河湾産」として販売する店が後を絶たないという。

12月23日、静岡県の桜海老加工組合連合会は、駿河湾産のサクラエビに統一した認証ラベルを作成する方針を固めた。

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「駿河湾産」と偽るサクラエビ販売の実態を取材した。

2年ぶり漁解禁も年間水揚げ量は戦後最低

統一した認証ラベルを作成することになった背景について、静岡県桜海老加工組合連合会の会長は次のように話す。

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
サクラエビの国内生産量が、年間にすると5分の1以下になったということで、国産と台湾産をブレンドしたり…過去にもいくつかあったんですけど、“もぐらの頭叩き”じゃないですが、埒が明かない。

この数年、不漁が続いている駿河湾産のサクラエビ。2018年は漁自体が休止となり、2年ぶりに解禁となった2019年は、年間を通して戦後最低の水揚げ量となった。

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
台湾産や他の外国産のエビを駿河湾産と表示して販売する。エビを扱っている業者としてもイメージがよくない。サクラエビのブランド力を維持したいです。

江戸時代から続く都内の老舗海産物店によると、サクラエビは日本では駿河湾でしか獲れないという。

その店で販売されている駿河湾産のサクラエビは、自然なピンク色で殻が柔らかく、甘みと旨味が強いのが特徴。価格はわずか18gで1380円だという。

「駿河湾産」「静岡」と表示して販売されるサクラエビをプロが検品

では、輸入品を駿河湾産と表示して販売する店はどれくらいあるのか?

都内で販売されていた「駿河湾産」や「静岡」と表示されたサクラエビ6商品を静岡県桜海老加工組合連合会で検品してもらった。

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
ちょっと触っていいですか?うん、うん…これは駿河湾です。これも駿河湾です。乾燥が悪いけど、これも駿河湾です。これも駿河湾ですね。

6つのうち、4つの商品については表示通り「駿河湾産」と判定。しかし…

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
これは台湾ですね。我々、関係者だってわかりにくいので、一般の方は駿河湾産として買っちゃいますよね。

髙柳会長は2つ商品を「台湾産」と判定した。ひとつは50gで1000円、値札には「静岡」と表示して販売されていた。もうひとつは80g 1800円で、値札に「駿河湾産」と表示して販売されていた。

「駿河湾産」と「台湾産」は何が違う?

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
台湾は少し小さめです。一回り小さいかな。

髙柳会長が判定した駿河湾産と台湾産を比べてみると、台湾産のサクラエビのほうが小ぶりだった。

結局、髙柳会長によると6商品のうち2つの商品が駿河湾産ではないという判断だった。台湾産のサクラエビが駿河湾産として販売されていることに対して、髙柳会長は…

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
やっぱりつらいよね。格段に駿河湾産は違うんだと、地道な努力をしていくしかないですね。真面目なものをとにかく作っていくということですよ。

これからの年末年始に向けて、さらに需要が高まる桜海老。しかし、街ゆく人からは「駿河湾産のサクラエビを見分けるのは難しい」との声も聞かれた。

そこで、連合会の高柳会長に駿河湾産と輸入品の見分け方を聞いてみると…

静岡県桜海老加工組合連合会 髙柳昌彦会長:
駿河湾産の場合は天日干しですので、色が若干薄めです。台湾産は温風で乾燥を仕上げるので、少し色目がつきます。

他にも駿河湾産はサクラエビ自体が大きく形もしっかりしているという特徴があり、台湾産はサイズが小さめで形も崩れやすいという。購入する際には参考にしてほしい。

食品に関する法律に詳しい虎ノ門法律経済事務所の佐藤光子弁護士によると、食品の産地を意図的に偽って販売した場合、食品表示法違反の罪に問われ、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科せられる可能性があるという。

(「めざましテレビ」12月25日放送分より)