将棋の藤井七冠が王位戦 第5局でタイトル防衛を果たしたため、静岡県牧之原市で開催予定だった第6局は幻と化した。しかし対局が組まれていた9月6日、藤井七冠は駒ではなくマイクを握ってファンを喜ばせた。

対局は幻も…ファン感激の代替イベント

8月23日。将棋の王位戦 第5局で佐々木大地 七段を破り、対戦成績4勝1敗でタイトルを防衛した藤井聡太 七冠。これにより牧之原市で予定されていた第6局は幻となった。

トークショーには多くのファンが駆け付けた
トークショーには多くのファンが駆け付けた
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こうした中、9月6日に第6局の前夜祭と大盤解説会に代わるイベントとして藤井七冠を招いたトークショーが開かれた。地元・牧之原市在住のファンは「対局がなくなったので、せめて顔だけでも見ようかと来た」と心を躍らせ、掛川市から訪れたというファンは「どんな話が出るのか興味がある」と興奮気味な様子だ。

トークショーでは、最初に森内俊之 九段や佐藤紳哉 七段、村田智穂 女流二段と共に第5局における局面ごとの思考や作戦について振り返ったあと、勝利をつかんだ瞬間の心境について「終盤が非常に難しくて、本当に終局の直前までどうなっていくかわからない展開だったので、終わった瞬間はホッとしたという気持ちが一番強かった」と答えた藤井七冠。

強さの秘密は睡眠とメリハリ!?

このあとは一転、将棋以外の話題へと移る。まずは牧之原市の印象だ。藤井七冠が当地を訪れるのは2022年の王位戦 第5局以来2回目で、初めて来た時に「掛川駅から車に乗っていると、気がついたら周りが一面茶畑になっていてビックリした」と笑いを誘いつつ「本当にすばらしい絶景で、海とのコントラストもあざやか。すばらしいところだなと思ったことを覚えている。いつも本当に歓迎してもらいうれしい」と感謝した。

左から村田女流二段・佐藤七段・森内九段
左から村田女流二段・佐藤七段・森内九段

続いて過密スケジュールの中でのリラックス方法を問われると、藤井七冠は即座に「まずは寝ること」と笑顔を見せた。「どうしても対局が続くと、準備や振り返りに気が向くが、なにより対局にいい状態で臨むというのが一番大切なので、それを意識している」とのことで「1日だいたい7~8時間寝られたらいいと思っているが、ただ家だと結構二度寝をしてしまうことがあり、結果的に10時間くらい寝てしまうこともある」と茶目っ気たっぷりに回答。このため対局がない日は「自分の計画では7時半くらいに起きる予定だが、結果として8時半とか9時になっている」そうだ。

これまで驚異的な粘りや発想力で何度もファンを驚かせてきた藤井七冠だが、意外にも「対局中ずっと集中力を保つのは難しい」と話し、だからこそ「メリハリをつけて、大事なところでしっかり集中して考えられるようにと意識している」と、その強さの秘密に触れた。

変化球のおもしろ質問にも笑顔で回答

一方、小学生から寄せられた「友達になりたい駒は?」というトリッキーな質問には、しばし考え悩み抜いた末に「桂」を挙げた藤井七冠。その理由は「上手く使えばすごく強い駒だが、逆に相手に取られてしまうことが結構あるので、できれば取られないでいてほしいから」と会場を沸かせた。

さらに藤井七冠といえば対局中に口にするおやつや昼食も注目されるが、子供の頃は「チョコとグミをよく食べていた」ようで「食べ出すと止まらないところがあって両親に止められていた」とほほ笑ましいエピソードを披露した。

笑顔を見せる藤井七冠
笑顔を見せる藤井七冠

最後に今後への意気込みを聞かれると「王座戦が本当に多くの人に注目してもらえる舞台になると思うので、全力で対局に臨んで出来る限りおもしろい将棋が指せるように頑張っていきたい。それ以降も竜王戦などいろいろタイトル戦が続くので、それらの対局の中でいろいろ学びながら少しでも強くなれるよう取り組んでいけたら」と抱負を述べた。

王座戦はここまで1勝1敗のタイ

ここまで王座戦5番勝負は1勝1敗のタイ。藤井七冠が前人未到の”8大タイトル全制覇”に王手をかけるのか。それとも永瀬拓矢 王座が“名誉王座”獲得に王手をかけるのか。注目の第3局は9月27日に名古屋マリオットアソシアホテルで行われる。

(テレビ静岡)

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