静岡県の中山真珠 県議会議員(28)が運転免許証の有効期限が切れていることを認識しながらも車を運転していた問題で、中山県議は議員を辞める意向を固め、9月6日、県議会事務局には辞職願を添付したメールが届いた。

当時27歳の若さで県議に初当選

2023年4月に行われた統一地方選挙で静岡県政史上最年少の若さで当選した中山真珠 県議。

議員バッジを付けてもらう中山県議(5月1日)
議員バッジを付けてもらう中山県議(5月1日)
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議員バッジを交付された際には「今まで意思決定に届いて来なかった若い世代の声や女性の声をしっかり届けていけるように頑張っていきたい」と意気込んだ。

議員としての抱負を述べる中山県議(5月1日)
議員としての抱負を述べる中山県議(5月1日)

しかし、県民を代表する公人が過失ではなく意図的に法律を犯した代償は大きく、当選からわずか5カ月足らずで県政の壇上から去らざるを得ない状況となった。

過失ではなく“故意”に無免許運転

中山県議の無免許運転が発覚したのは8月4日。静岡市葵区の横断歩道で取り締まりをしていた警察官が、一時停止違反による歩行者妨害として声を掛けたことがきっかけだった。実はこの3日前の8月1日。中山県議は身分証明書として運転免許証を提示した際に「有効期限が切れていること」を指摘されていたという。

8日に記者会見を開いた中山県議は「神奈川県から引っ越してきた際に、運転免許証の住所変更をしていなかったため、更新の通知ハガキが届かなかった」と釈明した一方、免許の失効に気づきながらも車を運転した理由について「どうしても時間に間に合わないという意識にかられた」と述べた。

会見は謝罪から始まった(8月8日)
会見は謝罪から始まった(8月8日)

ただ、自身の進退について問われると「まだ少し考える時間が欲しい」としつつ「何も県民に仕事で恩返しができていないし、選んでいただいた方の期待を裏切ったまま辞めることで責任を取るというよりは、今回のことを深く反省し、一層仕事にまい進することで罪を償わせてほしい」と口にし、その数日後には後援会幹部などに対して「当選してまだ4カ月でまだ何も成し遂げておらず、皆さんにお詫びしながら仕事で返していきたい」と議員を続ける意向を伝えていた。

説明とは食い違う事実が明らかに

事態がさらに悪化したのは8月下旬。

8日の会見では免許を更新しようと2日に静岡市葵区の中部運転免許センターを訪れたものの、受付時間外で更新できなかったことを明らかにしていた中山県議。この時も免許センターに行くために車を利用していて、職員から「無免許運転になる」と伝えられたため、帰りについては「運転代行業者を利用した」旨を所属会派(当時)には説明していたが、その後、実際には免許センターからの帰路も車を運転していた事実が明るみとなり、批判は止むどころか強まる一方となった。

県議会代表者会議(8月25日)
県議会代表者会議(8月25日)

中山県議の行動や虚偽の説明を重くみた県議会では8月25日、議会を構成する3会派がいずれも辞職勧告決議案を提出することに同意したほか、31日には袋井市で不動産業を営む男性が中山県議の辞職を求める請願を提出。外堀はどんどん埋められた。

中山県議の辞職を求める請願も提出された
中山県議の辞職を求める請願も提出された

辞職願は突然に…議会事務局にメール

こうした中、中山県議は議員を辞める意向を固め、9月6日夕方、県議会事務局に辞職願を添付したメールが届いた。代理人弁護士によると同日、原本を中沢公彦 議長宛てに郵送したという。

静岡県議会の本会議場がある県庁 本館
静岡県議会の本会議場がある県庁 本館

議長の手元に届き次第、正式に受理される予定で、現在は閉会中のため本会議を経ずに辞職が認められる予定だ。

中山県議による「議員辞職にあたってのお詫び」
中山県議による「議員辞職にあたってのお詫び」

以下、中山県議が有権者・議会・報道関係者に宛てた「議員辞職にあたってのお詫び」の一部を抜粋する。(原文まま)

▼自らの過ちを正し、最大限の反省と誠意を示すために出来ることは何か、悩み抜いた結果、県民のみなさまからお預かりした議席をお返しすることが、今の私に出来る唯一の責任の取り方であるという結論に至りました

▼政治という未知の世界に飛び込み、右も左も分からない中で、必死に仕事を覚えようと走り回る中で、いつの間にか自分を見失ってしまい、法令遵守という公職として果たすべき最低限の義務、当たり前の大切なことすら見えなくなるほど、正常な判断ができなくなっていました

▼この苦い教訓を契機に、しっかりと等身大の自分を見つめ直し、志のために、私を温かく支え、育ててくださったみなさまのために、そして社会のために、自分にできることをもう一度よく考えながら、これからの新しい人生を一歩ずつ誠実に、真っ当に歩んでいきたいと思います

ただ、中山県議は8月の記者会見以降、体調不良を理由に公の場に姿を現しておらず、県議会に対しても「9月30日まで休養を要す」と記された診断書を提出し、議長との面談も二度キャンセルした。また今後も会見を開く予定はないとしていて、県民を代表する公人として“説明責任”という最低限の務めを果たさずに静岡県政を離れることになり、後味に悪さはぬぐえない。

(テレビ静岡)

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