パリコレなど世界的なファッションショーで仕立て人として活躍してきた福岡県出身の男性がこの春、富山市に活動の拠点を移しアトリエを開いた。富山に移住した理由や男性を突き動かす原動力などを取材した。
独立し富山にアトリエを開いた理由
華やかなスーツにボリュームのあるドレスと、世界的なファッションブランドのショーでお披露目されたオートクチュールを仕立てた高松太一郎さんは、これまでプラダやドルチェ&ガッバーナなど高級ファッションブランドで服を仕立てる「テーラー」として働いてきた。

高松さんが特に力を入れて制作しているのはドレスで、中でも仕事着などとしても使えるジャケットにこだわり作品を作り続けている。

高松太一郎さん:
表から見えない立体を作り込めるのが魅力。着る人のことを考えていろんな形が作れる
高松さんは2022年にデザイナーとして独立。富山市にアトリエを開いた理由を聞いた。

高松太一郎さん:
身体は水や米などでできていて、目に見える形ですぐ目の前にあるのが魅力。
ドレスを作るときのフィッティングは重要な制作過程の一つ。食事や水、自然環境の大切さに気づき富山への移住を決めたという。
“しけ絹を触ったときに「これだ」と”
そして、もう一つ富山に引かれた理由が、糸が複雑に絡み合ってできる繊細な「薄さ」と独特な質感の「節」が特徴の生地「しけ絹」だ。全国的にも珍しく、富山県内では南砺市城端の松井機業が作り続けている。

高松太一郎さん:
白さが全然違う。絹で良い素材に出会えない中、富山で松井機業を紹介された。初めてしけ絹を触ったときに「これだ」と思った

松井機業は創業明治10年の老舗で、この地区で450年、絹を織っている。高松さんが純白に近い絹を探し求め、7年前に出会ったのが松井機業の6代目紀子さんだった。

松井機業6代目・松井紀子さん:
これまで私たちが得意な薄い生地は「使えない」と言われ、服には向いていないとしょんぼりしていた時に、高松さんに「全然いけますよ」と言われた。しけ絹が「私はこのレベルよ」と言っている
女性の社会活躍を後押し
「しけ絹」を使って繊細に作り込む新たなドレス。高松さんを突き動かす原動力は、ドレスが持つパワーにあるという。

高松太一郎さん:
自分ができることは、女性が服を着て自信を持って社会で活躍するのを後押しすること。服を着ることで女性が強く志を持って活躍していけるといい
この春から富山で本格的に活動を始めた高松さんの富山市のアトリエは、秋に一般開放する予定で、現在準備中という。
(富山テレビ)