学校再開を待ち望んでいた子供たち…ところが

長い休校期間が明け、学校にようやく子供たちの声が戻ってきた。

安堵する一方で、学校は休校前の様子と一変していて、子供たちがストレスを抱えているのではないかと感じている親も多いようだ。子供たちの心のケアを取材した。

学校再開について街で聞いてみると…。

女性:
“会いたかった”って言っていた子供がいっぱいいたので、良かったねと

別の女性:
今年小学校に入学した弟がいて、毎日ワイワイ学校楽しみみたいな感じで、朝早く出て行って帰りもメチャメチャ笑顔で帰ってくるので、再開したのはとってもうれしいかなと思いますね

また別の女性:
対面してお話するっていうのは、オンラインではできないことなので、そういう意味では学校再開できて良かったんじゃないかなとは思います

街では「よかった」という喜びの声がほとんどだった。
しかし、実際に学校に通う子を持つ親は喜んでばかりはいないようだ。

愛知県刈谷市の岡田さん。小学2年生と5歳と2歳。3人の娘を持つ母親だ。

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岡田さんの住む刈谷市では5月25日から学校が再開。子供たちも楽しみにしていたというが…。

岡田さん:
いつも学校から帰ってきて「ただいま!」って言って帰ってくる娘が、すごく疲れた顔して帰ってきて、「どうしたの?」って聞くと、もう「疲れた」っていう一言で。学校行って疲れたってちょっとかわいそうだなって

「疲れた」という言葉を聞くことが多くなったことを、心配している。そこに長女が帰って来た。

岡田さん:
おかえり~ただいまは?疲れた?

長女:
うん

岡田さん:
友達としゃべった?

長女:
長い放課(休み時間)は…あやとりしていた

岡田さん:
1人で?

長女:
1人でしかダメだもん

この日から学校給食も再開し、本来なら楽しい1日になるはずだった。
しかし…。

岡田さん:
給食久しぶりだったもんね。給食は1人で食べるの?

長女:
前向いて静かに食べないといけない。すごい教室が静か~になってた

その日の学校の様子を詳しく長女に聞く岡田さん。学校生活の変化を感じていた。

岡田さん:
誰とも喋っちゃダメだったりとか、あとは「放課(休み時間)何してたの?」って聞いたら、「みんなで散歩しに行った」って言うんですよ。放課も唯一、子供たちの楽しみじゃないですか?なんかそれもまだ奪われた状態なんだなと思って

コロナ対策のため、休憩時間や給食など学校生活が休校前と一変してしまっていることに、少し戸惑いを感じているようだ。

岡田さん:
やっぱり心配になる部分っていうのは、学校が再開した後に、子供たちの授業ってどうやって進んでいくのかなとか、お友達との関係性ってどうなっちゃうのかなとか…

今まで経験したことのない状況に子供が簡単に順応できるのか、親として不安を感じている。

未経験の学校環境…大人からも不安や心配の声 学校側の対応は

街でも同じような不安の声が…。

女性:
友達との関係とかクラスの団結とか、そういうのが作られる時期だったのができなくなって、体育祭が延期ではなくて無くなったので、勉強ばっかりになっちゃうのか、そこが心配ですね

別の女性:
イベントがないのはちょっとかわいそう

学習の進みで差がついたり、勉強以外の学びが失われることで、精神的に不安定になってしまうのではないかという声が聞かれた。

“ウィズコロナ”時代に必要な子供たちの心のケア。学校側も対策を考えている。

名古屋市では長期休暇明けの登校が精神的な負担になる可能性があることから、これまで、夏休みに入る前に配っていた相談窓口などが書かれたカードを、今年は学校再開のタイミングに合わせて配布した。

また、眠れているか、体調はどうかなど、「チェックリスト」を使って学校ごとに心と体の調子を確認している。

特に注意しているのが、再開からしばらく経ったこれからの時期だ。

名古屋市教育委員会の担当者:
逆に頑張ろうとしすぎて、ちょっと経った時に疲れが出てきちゃう可能性があるかなと思うので、その辺りも注意していきたいなと思っています。ゆっくりと子供たちが遊ぶ権利や、ちょっと怠けたりする権利もあるわけなので、そういう所で、“大きく見守ってください”と先生方にもメッセージを出しています。長い目で子供たちを見守っていければなと思っています

子供たちの心のケア「親は焦らず」が肝心

子供の心の不調のサインにはどんなものがあるのか、ファミリーメンタルクリニックの河村雄一先生に聞いた。

・腹痛・頭痛を訴える
・これまでしっかりしていた子が急に甘えるようになる
・わざと怒らせるようなことをする

低学年の子供だとおねしょをするなど、幼児返りと思われる兆候が見られることも多いとのこと。

こうした不調のサインがみられた場合でも、河村先生が大事なことと指摘するのは、「子供以上に親が焦らないこと」だという。

子供は適応力があるので成長や適応力を信じて、長い目で見て、焦らずに話を聞いて環境を整えることが大事だと話している。

(東海テレビ)

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