北朝鮮が開城の南北連絡事務所を爆破 韓国政府の対応は?

北朝鮮と韓国の間で大きな動きがあった。
韓国統一省は「16日午後2時49分、北朝鮮と共同で運用していた開城(ケソン)工業団地内にある南北連絡事務所を北朝鮮が爆破した」と発表した。

朝鮮半島筋によると、「4階建ての建物の3階と4階部分は失われ、1階と2階は鉄骨だけが残っている」ということだ。

南北連絡事務所は2018年9月に開設され、韓国と北朝鮮の当局者の協議の場になっていたが、韓国の脱北者団体が金正恩委員長を批判するビラをまいたことへの報復措置として、6月9日に北朝鮮側が一方的に閉鎖した。

また、金委員長の妹の与正氏は6月13日、「遠からず共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」と、破壊を予告する談話も発表していた。

韓国の文在寅大統領は15日、「対話の窓を閉じないことを要請します」と北朝鮮に呼びかけていたが、北朝鮮による韓国への攻勢がエスカレートしている。
南北融和の象徴的な場所である連絡事務所を北朝鮮が爆破したということで、韓国政府は衝撃を受けているが、午後5時からNSC・国家安全保障会議を開催する。

南北共同連絡事務所爆破 菅長官「情勢を注視する」

一方、今回の南北連絡事務所の爆破について、菅官房長官は会見で「様々な情報に接しておりますが、その一つ一つについてコメントを差し控えたいと思います。米国や韓国などとともに緊密に連携しながら情勢を注視するとともに、警戒監視に全力を挙げているところ」と述べた。

なぜ融和の象徴を?金正恩の妹・与正氏が爆破予告

Live News it!のスタジオでは…
北朝鮮が爆破した南北の共同連絡事務所は、板門店の西側にある開城工業団地にある。
そもそも、爆破された連絡事務所は何のために作られたものなのか?詳しく経緯を見ていく。

佐々木恭子アナ:
南北の連絡事務所は2018年、南北首脳会談が行われた後に、南北の当局間の交流や接触の拠点として設立されていた。しかし、最近では活動は行われていなかった。

動きがあったのは2020年5月31日。韓国の脱北者団体が北朝鮮の体制批判のビラを散布した。
それに対し、金正恩委員長の妹・金与正第一副部長は6月4日に発表された談話で、「ゴミ」「動物以下」と激しい言葉で脱北者団体を批判していた。
そして6月9日には北朝鮮が南北のホットラインを遮断
13日には金与正第1副部長は「連絡事務所は跡形もなくする」と事務所の爆破予告をしていた。

なぜこのタイミングで爆破?

朝鮮半島情勢を長年取材してきたフジテレビ国際取材部の鴨下ひろみ部長に話を聞く…

加藤綾子キャスター:
まず、開城工業団地は「南北経済協力のシンボル」と捉えてよろしいのでしょうか?

フジテレビ国際取材部長・鴨下ひろみ:
そうですね。

加藤綾子キャスター:
それ程に大切な場所を爆破したのですが、なぜこのタイミングとお考えですか?

フジテレビ国際取材部長・鴨下ひろみ:
今、北朝鮮には大きな焦りがあるように見られます。北朝鮮は「新型コロナの感染はない」と言っているのですが、新型コロナのために中国との交易も滞っています。また、米朝の核協議なども膠着状態にあって、八方塞がりの状況なんですね。「これを何とか打開しよう」ということで、韓国側に揺さぶりをかけてきたというふうにみています。

過激な発言の裏には何が?

加藤綾子キャスター:
爆破は韓国の脱北者団体の北朝鮮へのビラ散布に対する報復と捉えてよろしいでしょうか?

フジテレビ国際取材部長・鴨下ひろみ:
はい、韓国側はこの脱北者団体に対しては(南北交流協力法に違反するとして)警察に告発するといったような相応の措置をとったのですが、北朝鮮側はこれに満足せずに、何らかの爆破とか破壊措置を行うことを予告して実際に破壊爆破したという状況です。

加藤綾子キャスター:
最近、金正恩委員長の妹の金与正氏の「過激な発言」というものが目立つように感じられるのですが、過激な発言の裏には何があるのでしょうか?

フジテレビ国際取材部長・鴨下ひろみ:
金与正氏がこうした形で談話を発表するようになったのはこの3月からなんです。そこでは、まず韓国を中心に談話を出していて、またトランプ大統領の親書の内容についても触れる談話もありました。このように対外的な発信を「金正恩委員長に代わって、実際に与正氏が担当するようになった」「外交部門の責任者である」と言うことを示していると思うのですが、このように与正氏の存在感が北朝鮮の指導部内で非常に高まっているということが言えると思います。

加藤綾子キャスター:
2018年4月の南北首脳会談では文在寅大統領と笑顔で握手する柔和な表情が印象的だったのがここ最近という感じはしますね?

フジテレビ国際取材部長・鴨下ひろみ:
そうですね。この時は融和ムードだったので彼女もその融和のアピールのために笑顔で接していたという状況なんですが、今は戦闘モードに入っていますので韓国も敵として見なしていますので、こうした非常に激しい言葉遣いをして批判をしていると。

トランプ大統領への揺さぶりか

加藤綾子キャスター:
韓国側はどのような対応をとるのかというのも気になりますが、風間さんは今回の爆破についてはどのようにご覧になりますか?

フジテレビ風間晋解説委員:
金正恩委員長がやりたいことは、つまるところトランプ大統領との取引だと思う。トランプ大統領は今、新型コロナや人種差別問題で支持率が急落中。11月の再選が危ぶまれる状況になっています。11月までに米朝首脳会談を、歴史的取引をやらなければならない。それが金委員長にとって、もしかしたらラストチャンスかもしれない。しかもトランプ大統領にとっても、劣勢挽回につながるかもしれない。そういった思惑が今北朝鮮がものすごく積極的に動いていることなんじゃないかと思います。

加藤綾子キャスター:
そうしたメッセージもあるのではないかということですね。

(Live News it!6月16日放送分より)