新型コロナウイルスに感染した男性が、重篤な状態を切り抜け、6月11日退院した。
しかし、社会復帰の道はまだ険しいようだ。

コロナ感染後の“後遺症”

新型コロナに感染し、奇跡的な回復を遂げた山本さん(仮名・60代)。

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山本さんは4月上旬、意識不明で病院に搬送された。
すぐさま、人工心肺装置ECMO(エクモ)での治療を開始。

多臓器不全に陥ったが、懸命の治療を受け、1カ月後に回復。

しかし、回復した山本さんに待ち受けていたのは、筋力低下という後遺症との闘い。

山本さん(仮名・60代):
自分の体とは思えないくらい首は立たない。肘掛けにも手がかからないくらいだらんとしてて。

もう一つ、病院側が心配していたのは“精神面”での後遺症
麻酔によって長期間眠っていると、記憶が断片的になり、不安な状況を突然思い出す「PTSD」を発症することがあるという。

担当医は、スタッフが記録した日記を渡す。
日記を読んで、断片的な記憶を埋めることで「PTSD」を抑えようとしたのだ。

続くコロナの“後遺症”。退院後はリハビリ施設へ

体力と記憶を取り戻す作業を続けた山本さんは、入院から2カ月後の6月11日、退院の日を迎えた。

山本さん(仮名・60代):
新しい命をもらった感じでおります。皆さまの献身的な看護、医療で助かったと思っております。

向かったのは自宅ではなく、リハビリ専門施設。
山本さんはすでに陰性だが、次のリハビリ施設では、1週間は個室に隔離され、家族も面会できないという。

医師は社会復帰までのメドについて・・・

自治医科大学付属さいたま医療センター・主治医の讃井將満副センター長:
このままのスピードでいくと、2カ月ぐらい経てば、自宅療養できるんじゃないかな。その後1、2ヶ月すれば、完全な社会復帰が予想されます。

職場復帰が今の目標だと語る山本さん。コロナとの闘いは退院後も続く。

コロナに必要なのはアフターケア

Live News it!のスタジオでは…

加藤綾子キャスター:
仕事復帰にはさまざまな壁があるということなのですが、専門家によると「筋力の低下」「肺機能の低下」「PTSD」の他に、「職場復帰した後の差別」も懸念されるということです。
コメンテーターの原田曜平さんはこうした「壁」について、いかがお考えでしょうか。

マーケティングアナリスト・原田曜平氏:
自分がかかっていないと、かかった人の気持ちというのはなかなか分からない。例えば出産から職場に戻ってきた人も、完全に元通りになったわけではない。
なかなか想像できなかったりするが、新型コロナには必ずアフターケアも必要なんだという意識を、社会で持っていくことがすごく大切だと思います。

加藤綾子キャスター:
コロナにかかった方を差別しない。私たちもしっかりとした知識を身につけていかないといけないですよね。

マーケティングアナリスト・原田曜平氏:
せっかく体力が戻っても、心の問題が発生してしまうと、二次被害が起こってしまう。

加藤綾子キャスター:
本当に差別は許されないものだと思いますし、こういう問題は、誤った知識から生まれることが多いと思います。新型コロナウイルスに対する正しい知識、情報を持つことが、私たちも必要だと思います。

(「Live News it!」6月15日放送分より)