「東京アラート」の発動に意味はあったのか?

東京都では6月11日、新たに22人の新型コロナウイルス感染者が確認された。

こうした中、都は専門家の意見も踏まえたうえで、6月2日から発動していた「東京アラート」を解除するとともに、12日午前0時には休業要請を緩和する「ステップ3」に移行するという。

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東京アラートにはどのような影響があり、解除されるとどうなるのだろうか?Live News it!では専門家3人に聞いた。

答えていただいたのは日本医科大学の特任教授・北村義浩さん、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣さん、元三重県知事・北川正恭さんの3人。

Q:東京アラートの発動に意味はあった?

日本医科大学特任教授・北村義浩氏:
ほとんどの人に効果がなかったのではないでしょうか。アラートは首都圏全体で出した方が効果があるのでは…

第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏:
2日の発動から、2週間を待たずに解除することには疑問がある。経済を戻したいなら出さなくてよかったのではないか…

元三重県知事・北川正恭氏:
仕方なかったと思う。経済の状況・陽性者の増加比などを考えた上での判断だったと思う

加藤綾子キャスター:
柳澤さんはどうご覧になりますか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
警報という意味ですから。注意を喚起する意味では、緩みがちな気持ちに対して、もうちょっとしっかりしてくださいよという意味では、僕は意味があったのではないかなと…

加藤綾子キャスター:
緊急事態宣言を解除しますけど、まだ緊張感を持っていてくださいねと?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
まだまだ気を引き締めてくださいと。そういうところでは意味があったような気がします

フジテレビ 風間晋解説委員:
僕もそこの部分には賛成で、国の緊急事態宣言の解除が視野に入ってきたときに、解除となっても油断はしてないことを示す仕組みとして考えられた面があると思うんです。都知事が(東京アラートを)発表した5月22日前後って、まだ解除は早すぎるとか、心配だとかいう声が少なくなかった。実際に宣言が解除されてから2週間たって、都民の気持ちは大きく変わってきていると思うんです。それが東京アラートの評価の変化につながってきているんだろうなと。思いのほか早く、役割は終わっていたのかなと思ってしまいますね

加藤綾子キャスター:
東京アラートの2回目が出たときに、緊張感抱けるかなっていうのも心配なところですね?

ステップ3では何が緩和されるのか?

東京都は東京アラートの解除と同時に、ステップ3へ移行する方針だ。

このステップ3では、カラオケ遊園地パチンコゲームセンターネットカフェ場外馬券場などの休業要請が緩和されるほか、飲食店の営業時間も午前0時までに延びるという。

緩和の流れを街の人はどう思っているのか?聞いてみると...

30代:
モラルを持って行動することができるのであれば、ステップが進んでいくことはいいことなのかなと思います

10代:
まだ早いんじゃないかなっていう。完全に収束してからじゃないと、いつどこでクラスターが発生してまた爆発的に増えるかも分からないので。まだ怖いところではあるけど...

20代:
遊園地とか子供を連れて行きたいですし。やっぱり子供が一番かわいそうなのでね。家の中にずっといないといけないので

10代:
感染のリスクが高まると思うので不安です。普通に遊べる状態にならないと、心から楽しめないし。前みたいな平和な日が戻ってきたら、ディズニーとかそういうとこには行きたいですね

ステップ3への移行…専門家の意見は?

街ではステップ3はまだ早いという意見も多かったようだが、3人の専門家はどのように考えているのか。こちらについても見解を伺った。

Q:ステップ3への移行をどう思うか?

日本医科大学特任教授・北村義浩氏:
そもそもステップに意味があったかどうか疑問。業種ではなく対策を取っているかどうかで分けるべきだったのでは

第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏:
移行すべき。感染対策をしっかりした上で施設は再開させるべき

元三重県知事・北川正恭氏:
移行については慎重派です。新型コロナウイルスを完璧に抑えてからの経済対策を!

と専門家3人の意見も分かれた。

加藤綾子キャスター:
柳澤さんはどうご覧になりますか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
僕は基本的には完璧に抑えてからだとは思うんですけど、でも完璧に抑えることがやっぱり難しいんですよ。とすれば、その業界の人たちは生活ができませんから、移行すべきではなくて移行せざるを得なくなったんだなという気はするんですよね

加藤綾子キャスター:
ステップ3に移行するとどんどん、もう大丈夫なのかなという気持ちの変化がね?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
そこなんですよね。モラルを持って行動をとおっしゃってましたが、そのモラルがだんだんと崩れてしまうんじゃないかな

加藤綾子キャスター:
(感染者の)数字が今日の実態ではないのに、今日これだけ人が出てもこの人数だから大丈夫かなっていうふうに、ちょっと勘違いし始めてしまいそうで

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
錯覚するので。本当は2週間の数字を見ないと分からないと言われていますからね

東京アラートの再発動はあるのか?

それでは、東京アラートがもう一度出される可能性についてはどうなのか?

Q:東京アラートの再発動はあると思う?

日本医科大学特任教授・北村義浩氏:
分からない。これは感染症の話というより政治判断では

第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏:
感染者が増えれば発動されるだろう。しかし出されたとしても経済的な損失は限定的だと思う

元三重県知事・北川正恭氏:
当然あり得る。新型コロナウイルスはいまだに分からない部分がある。警戒を緩めてはならない

加藤綾子キャスター:
風間さん。お三方の意見を聞いていかがですか

フジテレビ 風間晋解説委員:
僕は出るとしても、同じ基準に基づいた東京アラートではないんじゃないかと思います。都知事が発表した5月22日ごろを思い浮かべてほしいのですが、都民の多くはまだ巣ごもりしてたんですよ。自分が出かけるかどうか、緩和の目安などに客観的数字を求めていたんですね。みんな基準が必要だと言っていたわけです。でも現実には、今はもうステップ3に進むというくらいに経済は再開しているし、人出も多くなっていて、都民はみんな自分の肌感覚で判断していると思うんです。同じ目安の数字に基づいた、同じ東京アラートがもう一度来るのかどうかというのは、僕はどうなんだと思うんですが…

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
僕は東京都がアラートを出すからどうのこうのではなく、自分のアラートはずっと出し続けるつもりでいるんですよ。誰かが言ったからじゃなくて、自分自身がどうこの新型コロナウイルスの感染と向き合うかですからね。一人一人が自分の中にアラートを持つべきだと思う

加藤綾子キャスター:
そこに呼びかける対応みたいなものも必要になってきませんか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
だからこそ、必要になれば再アラートってことはあると思うんですけど…

フジテレビ 風間晋解説委員:
番組でどんどん呼びかけてもらうのが大事なんじゃないですか。あとはニュースの意味みたいなものがしっかりと明確に伝わったほうが、皆さんには届きやすいのかもしれないですよね

加藤綾子キャスター:
東京アラートの意味みたいなものが、明確に伝わったほうが、皆さんには届きやすいのかもしれないですよね。日本特有の感じとってね...という

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
言わなくても分かるでしょ。という雰囲気のところがね

加藤綾子キャスター:
外国人の方を受け入れるようになったとき、どう対応していくのかも課題がありますよね

(「Live News it!」6月11日放送分より)

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