徴収ミスの内部告発で…役場の対応に男性職員怒り

山口県田布施町の男性職員が、1人配属された誰もいない小さな畳部屋。男性は、そこを報復人事部屋だったと訴える。

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男性職員:
こんな部屋に1人で閉じ込められて、ろくな仕事ももらえません。明らかに冷遇パワハラだと感じます

FNNのカメラは特別にこの部屋を撮影。部屋を見た人からは「信じられない」「絶対に許せない」などの声が聞かれた。

発端は2年前。当時、税務課に在籍していた男性職員が、固定資産税の徴収ミスを発見。上司に報告したが公表されなかったため、町役場に内部告発をしたという。

しかし、そこから役場の対応に異変が起きた。発見した徴収ミスは結局公表されず、その年度に役場側が出した男性職員の業務評価は、最低の0点だったというのだ。

「報復人事ではない」総務課長は否定するが…

男性職員:
ずっと有給で休んでいたわけでもないのに明らかにおかしい

男性職員は2年間で3回の異動となり、2020年4月に配属されたのが、役場の建物から40m離れた公民館の畳部屋だった。

周囲との交流もない、たった1人での業務だという。

役場側はこの問題をどう捉えているのだろうか?田布施町の総務課が取材に応じた。

田布施町総務課長・亀田典志さん:
(男性職員は)いろんな職場に行っても、周りの人とのコミュニケーションがなかなか成り立たないと。報復人事という言われ方をされているんですけど、そういったことは一切ありません。

パワハラを訴える男性職員とそれを真っ向から否定する総務課長だが、この一件で、役場には批判や苦情が殺到した。

問い合わせフォームには「6月10日15時34分に役場を爆破する」と書かれた爆破予告まで届き、避難訓練名目で約80人の町民と職員を避難させる騒ぎとなったが、結局、爆発物は見つからなかった。

役場の対応に法的問題はないのか?

たった1人の畳部屋への人事異動。もし、自分の夫がそうなったらいかがなものか?街で聞いてみると…

30代主婦:
誠実に働いて自分が正しいと思ったことをやった人が、そういうところに左遷されるのは本当に間違っていると思います。絶対に許せないし、一緒に戦いたいなと思います

では、法的問題はあるのか?若狭勝弁護士は次のように指摘する。

若狭勝弁護士:
(パワハラ防止法)「人間関係からの切り離し」と。隔離とか仲間外しとか無視というのが、該当するとされています。「隔離」というパワハラの代表的な例に該当する可能性が極めて高いと思います

役場は徴収ミスを認めていて、「本人とも相談して業務の進め方を検討したい」としている。

Live News it!のスタジオでは…

加藤綾子キャスター:
風間さん、内部告発者を守らなければいけないという常識に欠けているような気がしますよね

フジテレビ 風間晋解説委員:
時代に逆行するものでもありますね。6月8日に参議院の本会議で、内部通報者の保護を強化する改正法が全会一致で可決成立したばかりです。企業だけでなく行政や自治体も、襟を正してこの問題にしっかり取り組む必要があると思います

加藤綾子キャスター:
法改正されて終わりではなく、しっかりと理解していかないといけませんね

(「Live News it!」6月11 日放送分より)