3月、栃木県宇都宮市のプール。

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飛び込み世界選手権の代表選考会に向け強化練習を行っていたのは玉井陸斗(16)。

玉井はシニアデビュー戦だった日本室内選手権飛込競技大会で史上最年少優勝。2021年の東京五輪の男子高飛び込み決勝では、若干14歳で7位となり、この種目の日本勢では2000年シドニー大会5位の寺内健(ミキハウス)以来の入賞を果たす。

そして2022年の世界選手権・男子高飛び込みでは、15歳の若さで日本勢初の銀メダルを獲得し、日本選手権でも現在4連覇中の日本飛び込み界の至宝だ。

注目は”後ろ向きからの入水”

高飛び込みは10メートルの高さから様々な技を繰り出し、入水の美しさなどを採点する競技。

高さ10mから着水するプールを見下ろすとこんな視界に…
高さ10mから着水するプールを見下ろすとこんな視界に…

そんなスリリングな競技で今年の世界選手権、そしてパリ五輪でメダル獲得を目指す玉井の課題とはーー。

それは”後ろ向きからの入水”

玉井陸斗(16):
後ろ入水の、入水のキレが前より上がってきたかなと思います。

玉井が苦手としてきた”後ろ向きからの入水”。入水する直前まで水面が確認できない難しい技術で、これまでの大会でも度々、苦しめられてきた。

しかし、2022年の世界選手権以降、回転のタイミングを遅らせるなど技の見直しを行ってきた。

すると、取材した日には水しぶきの少ないほぼ完璧な入水を成功させていた。

玉井陸斗(16):
(明日の選考会で)自分の最大限の演技ができたらいいなと思います。まずは課題をクリアしながら、その先にあるメダルというのを見据えていけたらいいかなと思います。

新たな進化を遂げた玉井は9日、世界選手権代表選考会を兼ねた「翼ジャパン ダイビングカップ」男子高飛込に臨んだ。飛び込みの国内トップクラスが集うこの大会。

玉井が決勝2本目で挑んだのは苦手としていた”後ろ向きでの入水”「後宙返り3回転半えび型(207B)」。キレに自信をのぞかせていた通り、入水の直前まで水面が確認できない後ろ向きでの入水をきれいに決め、86.40の高得点。

さらに5本目に繰り出したのは「前逆宙返り3回転半抱え型(307C)」。後ろ向きに3回転半して見事にノースプラッシュで入水を決め、85.00の高得点をたたき出す圧巻の演技。

最終結果は玉井陸斗が480.10で、2位大久保柊におよそ40点、3位西田玲雄に84点の大差をつけて優勝した。

「サポーターなしの感覚がいい」

”苦手を克服”した玉井は、競技後の会見でこう総括した。

「決勝では207B(後宙返り3回転半えび型)も307C(前逆宙返り3回転半抱え型)も高得点で安心はできた。(”後ろ向きでの入水”になる)207Bについては、練習の時から手首に巻いているサポーターを意図的に外してテーピングだけにしているが、サポーターが”あるなし”で感覚が違う。その感覚の違いでサポーターなしの時に腕を振りやすくなった。サポーターを巻いていたら、今大会でも失敗していたと思うが、巻かずに飛んだことで、なんとか”引っ張り込めた”と思う」

7月の世界選手権で2大会連続のメダルを狙う日本のエース。さらに進化を遂げ、パリ五輪への第一歩を踏み出す”日本の至宝”からますます目が離せない。
 

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4月15日(土)24時35分から
4月16日(日)23時15分から
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