4月1日から改正道路交通法が施行され、自転車に乗る際はヘルメットの着用が努力義務になる。命を守れる確率が高くなる一方で、街の人からは髪型の乱れなどを気にする声も。ヘルメット着用の安全性について取材した。

ヘルメット着用でケガ軽減へ

雪どけが進み、新潟県内でも目にすることが増えた自転車。

4月1日には、改正道路交通法が施行され、年齢に関わらず、自転車に乗る全ての人を対象に「ヘルメット着用の努力義務」という新たなルールが追加される。

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しかし、街の人に話を聞くと「そんな話、聞いたことがない」「全然知りませんでした」などの声が聞かれた。

ヘルメット着用が推進される背景にあるのが、交通事故に遭遇した際の「ケガなどの軽減」だ。

県警 交通企画課 加藤保栄 交通調査官:
自転車乗車中は、歩いているときよりも頭の位置が高くなる。転倒するときは、それだけ衝撃が増えるということになる

新潟県内では、2022年に自転車が関係する事故が373件発生。

亡くなった人数は、過去10年間で97人。頭にケガをした場合、致死率は約5割。事故で亡くなった人の中でヘルメットを着用していた人は、過去10年間で1人しかいなかった。

ヘルメットなし ダメージは17倍に

では、ヘルメットを着用することで、安全性はどれほど高くなるのだろうか。

JAF新潟支部 事業課交通環境係 廣川尚樹さん:
ヘルメットを正しく着用することが、頭部の損傷を防ぐことにつながる

JAF新潟支部の廣川尚樹さんは「ヘルメットを着用した場合と着用していない場合で、衝突などの衝撃による脳や頭蓋骨へのダメージがどれほどあるのかを表す数値に違いが見られる」と話す。

親子3人乗りの自転車と1人乗りの自転車が、時速約20kmで出会い頭に衝突したときの衝撃をヘルメットの有無で比較した。

ヘルメットを着用した場合、親子3人乗りの自転車に乗っていた大人は243、後ろに乗っていた子どもは949という数値が出た。

ヘルメットを着用していない場合では、頭が左右に振られることで、地面にたたきつけられた時の衝撃が強くなり、後ろに乗った子どもの脳が受けるダメージは1万5951。

ヘルメットを着けていた時の約17倍近い数値になった。

数値が1000以下であれば、通常、後遺症は残らないとされているが…

JAF新潟支部 事業課交通環境係 廣川尚樹さん:
今回の1万5951という数値は非常に高い。何かしら損傷が出てくる

致命傷になる可能性もある数値だと廣川さんは警鐘を鳴らす。

さらに、自転車は停まっているときでも風にあおられたり、バランスを崩したりして転倒する可能性がある。

停まっている時も注意
停まっている時も注意

万が一、転倒した際のケガなどを防ぐために、廣川さんは「あごひもをしっかり締めること」を意識してほしいと話す。

ヘルメットを着用していても、あごひもを締めていなかった場合、転倒した時にはそのはずみでヘルメットが浮いてしまい、地面にたたきつけられた時はヘルメットを着用していない時と同じような衝撃を受けてしまう。

「普段着に合う」ヘルメット登場!

ヘルメット着用で安全性が高くなる一方で、着用率を上げるには課題もある。

街の人:
小学生・中学生が乗るときに、かぶっているイメージ

街の人:
女子だったら、前髪とかを作ってきていると思う。それを崩されるのは「ちょっと、いやだな」というところがある

(Q.普段着にヘルメットは?)
街の人:

ダサすぎる。絶対いや

街では、髪型の崩れや服装とのバランスの悪さを指摘する声があがった。

こうした声に対応しようと、ヘルメット自体も変化してきている。

新潟市中央区にある自転車販売店には、スポーツタイプのものなど30~40種類ほどのヘルメットが並ぶ。

さいくるぴっとB&S(新潟市中央区)
さいくるぴっとB&S(新潟市中央区)

さいくるぴっとB&S 加藤憲一郎 代表:
これからは普通のスーツや普段着で乗る方が多いので、デザイン的に少しやわらかいものや普段着に合わせやすいものが主流になる可能性もある

2023年に入ってから、ヘルメットに関する問い合わせも増えているという。

ヘルメットのファッション性を高めることで、着用率の向上に期待が寄せられている。

県交通安全対策室 荒木慎弥 室長:
ハット型のヘルメット。ヘルメットに抵抗のある女性も、このようなファッション性のあるヘルメットを利用していただければ

また、ヘルメットは自分の頭のサイズに合っていて、さらに「SGマーク」がついているものが安心だという。

SGマークとは国内の安全基準に適合していると認められた商品にだけつけられているマークで、万が一、その製品が原因でケガなどをした場合は、賠償してくれる制度もついている。

県警 交通企画課 加藤保栄 交通調査官:
頭部を守るということは自転車に乗る際に非常に大事なので、必ずヘルメットをかぶるようにお願いしたい

免許もなく誰でも気軽に乗れる自転車。

安全な乗り物としてあり続けるために、一人ひとりが意識を変えて、事故を少しでも減らしていく必要がある。

(NST新潟総合テレビ)

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