3月3日は桃の節句。ガラスの艶やかな魅力でお雛様を表現する新潟市のガラス作家の女性を取材した。
思い入れのある地にガラス工房を開いた女性
新潟市西蒲区岩室。温泉街にあるログハウスのような建物の中で、バーナーの炎と向き合うのは、本間英紘子さん。

熱で溶けたガラスを繊細に操ると、ガラスが意思を持っているかのように形が生まれていく。

本間英紘子さん:
今、季節ならではのお雛様を作っている

熱い炎の中から生まれたとは思えない、優しさを帯びたガラスの雛人形。
本間英紘子さん:
見て癒やされたり、幸せな気持ちになってもらえたら、作り手としてうれしい

ガラス作家の本間さんが手がけたお雛様などの作品の数々を楽しめるのは、岩室温泉にある「がらす工房Polaris」。
客:
冬は非常に寒かったので、お雛様を見ると、本当に春が来たんだなという感じがする

本間さんがガラスの世界に興味を持ったのは、小学生の時。
本間英紘子さん:
夏祭りで売られていた、ガラス細工。とっても大事なもので、宝物。私にとっては

子どものころに、夏祭りで毎年一つずつ買ったガラス細工のコレクションは、本間さんの作家人生の原点ともいえる宝物。
本間英紘子さん:
見た人に、「かわいい」とか「癒やされるな」とか、私が思ったような気持ちになってもらえたら、すごくうれしい

溶けたガラスを操り、生まれる形。
本間英紘子さん:
溶けたガラスを操るだけでなく、ガラスに気持ちを合わせて、無理はしない

本間さんは高校を卒業する前から、ガラスの美術館で働きながら、ガラス細工の技術を学び、2004年にガラス工房を開いた。
代表作である「天女の舞」は、柔らかな曲線で舞い踊る躍動感を表現。神秘的な輝きを放つ。

本間英紘子さん:
角度を鋭角にしてしまうと、ガラスが嫌がってヒビが入ってしまうので、緩やかなカーブになるように、躍動感をつけるようにしている

そして、岩室の温泉街に工房を開いたのは、こんな思いがあったから。
本間英紘子さん:
生まれてから岩室に住んでいるので、思い入れのある地にガラス工房を開いて、皆さんに楽しんでもらえる場所にしたいと思った

母校でガラス玉作り教室!ものづくりの楽しさ伝える
岩室小学校では1月、3年生が本間さんの指導により、ガラス玉作りに挑戦していた。

本間英紘子さん:
溶けたガラスは何℃くらいだと思いますか?
児童:
100℃以上…
本間英紘子さん:
正解は800℃~1000℃、熱いなんてものじゃないですね

これは、地域で活躍する人が講師を務める、郷土愛を育む授業。本間さんは、岩室小学校を卒業した先輩だ。

溶けるガラスに悪戦苦闘する児童たち。
児童:
怖い、怖い…。ちょっと本当にきつい
それでも、無事にガラス玉を完成させた児童が、慣れない手つきの同級生にアドバイスを送る姿も。

児童:
火の中にガラスを入れて、やわらかくなるのを待つんだよ

本間英紘子さん:
教え合う児童は頼もしい。これからが楽しみ
みんなで協力して、一人ずつ完成させた、世界に一つだけの個性豊かなガラス玉。


児童たちからは「きれい」「一生の宝物」などの声が上がった。
小学生の頃、ガラス細工に心ひかれ、ガラス作家になった本間さん。夢を叶えて、今度は小学生にガラスの魅力を伝える。

本間英紘子さん:
自分が作り出したものが、宝物になるということは、すごく素晴らしいことだと思う。これがきっかけとなって、色んなことに挑戦してほしい
ガラス工房に続き新たな挑戦も!
生まれ育った岩室を大切に思う本間さん。岩室の温泉街に開いた工房で、この春に向けて準備していることがあった。
本間英紘子さん:
私の育てたハーブなどを使った講座を始める予定
地元で育てたハーブなどを使い、アロマオイルを生成したり、ハーブティーなどを提供する事業。

本間英紘子さん:
温泉街に来て、ちょっと一杯お茶を飲んで、ハーブの香りに癒やされて、キラキラ輝くガラス体験をして、楽しんで帰ってもらえたら

生まれ育った岩室の魅力をガラスとハーブで伝えられたら…。炎から生まれたガラスのお雛様が柔らかな春の光に輝く。
(NST新潟総合テレビ)