新型コロナウイルスをはじめ、安倍政権では課題が山積している。一方、中国が香港への国家安全法を適用し米中関係は対立を深めている。日本は尖閣諸島問題などをふまえ今後の日中関係をどう捉え、行動するべきなのか。今回の放送では、石破茂自民党元幹事長をスタジオにお迎えし掘り下げた。

香港への対応は「中国だから」で終わってはいけない

長野美郷キャスター:
新型コロナウイルスが世界で広がる中、香港をめぐる国家安全法が採択され、米中関係が悪化しています。

石破茂 自民党元幹事長:
香港は中国に返還された後も50年間はイギリス植民地であった時期の制度を維持する、という共同宣言がある。しかし返還から20〜30年経って、中国は突如それは無効だと言い始めた。これは国際法的な観点から問われて然るべき。国際法を中国に向かって説くのは難しいが、「中国だからね」で終わってはいけない。

尖閣が日本の施政下にあることを示すべき

長野美郷キャスター:
新型コロナウイルスの感染拡大後、中国が尖閣諸島周辺で見せる動きの数字です。

石破茂 自民党元幹事長:
日本が尖閣を実効支配しており日本の施政下になければ、日米安保条約の対象にはならない。侵されているのが日本の国家主権、侵している主体が中国の主権を体現する公船であれば、なぜ警察力が対応するのか。急迫性の武力攻撃ではないから自衛権の対象ではないかもしれないが、一般の警察権の対象でよいのかというグレーゾーン。これには歴代防衛大臣が常に悩んできた。

反町理キャスター:
日本の施政下にあるとアメリカなどに示すには、船を浮かべるだけでいいのか。

石破茂 自民党元幹事長:
尖閣には無人の灯台があり、たぶん太陽光発電によってだと思うが灯台が自動的に機能している。国家が関与していないわけではない。ただ、これが実効支配と評価されるのか。船溜まりを作るなどの議論もあった。また、尖閣ではヤギが異常繁殖して自然の体系が相当変わっており、この環境評価も国際的に必要ではないか。

反町理キャスター:
すると環境省の仕事になる?

石破茂 自民党元幹事長:
そこで環境省なのかという話はあるが、いずれにせよ気象観測により国際的に寄与することが重要。日本の行動が突如として剣呑になるのはよくない。今から国際的な理解をどう求めるか。なにかあったときに議論するのではよくないし、尖閣は日米安保の対象だからよかった、というような楽観主義もよくない。

尖閣はもはや「鄧小平時代の棚上げ論と違う」

石破茂 自民党元幹事長(右)、反町理キャスター

反町理キャスター:
棚上げや先送りではなく、中国の外交的な姿勢に対して我々の姿勢を見せるべきときが来たのか? これまでの日中関係とは質が変わったか。

石破茂 自民党元幹事長:
そのご理解で結構です。ほかの国にはとても理解不可能だが、戦略的国境という概念を中国は持っており、中国の国力によって国境は変わるとする。中国の力がどんどん増し、GDPは天安門事件の数十倍になった。そして政権交代がないのだから、中国の経済を大きくしていかないと国民は納得しない。表向きは共産主義国家であり、富めるものは富む、貧しいものは貧しいではおかしい。すると経済成長を示すために中国は外国に進出せざるを得ない。中国が実力をつけるに従い国境の概念が変わる。鄧小平時代の棚上げ論とは違う。

言うべき言って習近平氏を国賓待遇

反町理キャスター:
習近平主席の国賓来日については。

石破茂 自民党元幹事長:
日本国として国賓として迎えたいと一度示した。それを取り消しということが許されるのか。かつて江沢民主席訪日のときに日本人の感情を逆撫でする発言があり、日中関係がおかしくなったことがあった。日本は民主主義国家の外交として、当然尖閣の話も、香港についても内政干渉にならないように、言うべきことは言う。嫌中論の話ではなく、国民支持のもと中国に言うべきことは言う。一方で外交儀礼として国賓待遇で迎える。それとこれは話が別。

石破茂 自民党元幹事長

反町理キャスター:
尖閣の話となると、経済面から中国との関係を良くしてほしいとの声が財界から出る。

石破茂 自民党元幹事長:
天安門事件のとき、国民に対し銃を向けるなどということがあっていいのかと国際社会が批判する中で、日本が最初に対中制裁を解除した。強く出れば日本は折れると中国は学習した。今回コロナの影響で、自動車・医薬品からキッチン用品に至るまでサプライチェーンが寸断される中「中国なくして日本の経済は成り立たない」でいいのか。財界は経済的な利益を第一に考える、労働者のこともある。しかしそれが日本の長期的利益につながるか。政府と財界は話し合うべき。譲れるものと譲れないものがある。

BSフジLIVE「プライムニュース」6月1日放送