これは沖縄県の港近くで捉えられた映像。カメラの前に白い煙が広がる。その原因は「不発弾」だ。

静岡県や首都圏の住宅街でも見つかるなど、いまだに各地で不発弾の発見が相次いでいる。
身近な場所から、一体なぜ不発弾が?その現場を取材した。
爆発処理で水柱 工事現場から“白い煙”
2022年12月、沖縄県で不発弾の処理作業が行われた。

海面が膨らんだ後、ドーンという爆音と共に吹き上がる水柱。沖縄戦で使われていたとみられる7発の不発弾が工事現場などで見つかり、爆破処理された。

戦争の爪痕が残る沖縄では今なお、年間400件以上の不発弾処理が行われている。

沖縄中部に位置する嘉手納町でも、同年12月に不発弾が見つかり、白い煙が立ち上った。
「危険ですので外に出ることなく、室内での待機、よろしくお願いします」とアナウンスで周辺住民に危険を知らせ、室内待機を呼びかける。
なぜ不発弾は突然、煙を上げ始めたのか?

当時、現場では地下の水道管工事が行われていた。工事中にショベルカーの先端が不発弾に接触。砲弾から液体が漏れ、それが空気と反応して、破裂音とともに白い煙となって辺りに広がったのだ。

この煙を吸った30代の女性が、体調不良を訴え病院に運ばれたが、命に別条はなかった。

自衛隊によると、今回の不発弾はアメリカ製の黄リン弾。煙幕を張り敵の視界を遮る爆弾で、沖縄戦で使われたものとみられている。
住宅街で配管工事中に…避難所設置も
度々見つかる不発弾は、沖縄に限った話ではない。2022年4月には、静岡県磐田市の住宅街でも…。

住宅街で配管工事をしていたガス会社が、太平洋戦争の空襲で落とされたとみられる不発弾を発見。

消防は「本日、不発弾処理のため、午前8時までに避難対象区域の外へ避難お願いします」とアナウンス。

不発弾から信管を抜く作業が行われる際、万が一に備え、半径355mは立ち入り禁止に。避難所も設置された。
避難した人:
思いの他、いろいろ市の方で対策してくださっていたので、これなら大丈夫かなと。
都内で50kg爆弾 過去には爆発で死者
2021年には東京都杉並区の住宅街でも。

記者:
今、信管を抜いた不発弾がつり上げられていきます。

自衛隊や警察官が集結し、30分間にわたって道路が封鎖される中、長さ約1m・重さ約50kgの不発弾が回収された。

第2次世界大戦中に使われたアメリカ製のものとみられている。
そして、不発弾は時として悲惨な事故を引き起こしてしまうケースもある。

1999年2月、三重県木曽岬町。道路の工事現場で地中に埋まっていた不発弾が爆発し、作業員の男性1人が亡くなった。

各地で後を絶たない不発弾の発見。防衛省によると、2021年度に行われた不発弾などの処理は1255件。過去4年を見ても、毎年1000件を超えている。

「畑から2つ出た」米軍施設の跡地にも
2022年12月も、横浜市瀬谷区で不発弾が見つかった。

そこは住宅街の目と鼻の先。8年前にアメリカ軍から返還された、旧上瀬谷通信施設の敷地内だ。

埋蔵文化財の発掘作業中に、全長約45cmの砲弾が見つかったという。この事態に近隣住民は。

近隣住民:
それはまぁ、怖いですよね。
近隣住民:
不安はありますけど、なんとも言えない…怖いですね。

市によると、今回見つかった不発弾は爆発の危険性がなかったため、その日のうちに自衛隊が回収したという。
取材を続けていると、不発弾が見つかった敷地内でこんな経験をした人もいた。

近隣住民:
私、あそこで畑をやっていたの。許可をちゃんともらって。そこで(不発弾が)2つ出た。昔のことだから、もっと出るんじゃないかなと、自分的には思っている。
なんと過去にも、畑から不発弾が出てきたというのだ。
近隣住民:
不発弾処理班とか警察とか、20、30人であれ(処理)したのを覚えている。

この旧上瀬谷通信施設は、東京ドーム約52個分の広大な敷地。市が将来的に複合的な集客施設を計画している場所だ。不発弾が見つかった今、市はどう対応するのか。

「今後も埋蔵文化財調査や工事の実施にあたり、今回、砲弾が発見された経過も踏まえ、磁気探査調査の実施など、安全性を確保しながら進めていきます」としている。
(「イット!」2月7日放送)