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岸田内閣に、また打撃だ。山際前大臣に始まり、葉梨前大臣、寺田前大臣、秋葉前大臣と、大臣4人の自民ドミノが起こっていたが、今回新たに更迭されたのは、首相の“懐刀”と言える総理秘書官。
荒井前総理秘書官の性的少数者への差別発言に、当事者はどう感じているのか、取材した。

手術受け性を変更…2児育てる父親「生活するのが怖い」

取材班は6日、徳島市で生活する清水さん一家を訪ねた。

37歳の展人(ひろと)さんは妻と、2人の子どもを育てるパパだ。

「うさぎちゃんは?ぴょんぴょんぴょん」と、3歳の長女と遊ぶ展人さん。

実は清水さんは、21歳までは女性だった。

女性として生まれた清水さんは、21歳の時に手術を受け、戸籍を男性に変更。27歳で妻・彩加さんと結婚した。

そして第三者の精子提供で、2人の子どもに恵まれた。

清水展人さん:
今回みたいな発言があると、逆に怖いんですよね、生活するのが
多くの性的マイノリティーの人たちが、不安になると思います。

清水さんが「こわい」と話したのは、岸田首相の懐刀といえる、荒井勝喜(まさよし)総理秘書官の発言についてだ。

荒井氏は2月3日、同性婚を巡り、「見るのも嫌だ。隣に住んでいたら、やっぱり嫌だ」などと発言した。

清水展人さん:
本音で言うと…、私もそういう(差別発言する)人が、隣に居たら嫌だって思ったりしますけどね…。
ただ一方的に、国とか行政に関わる人が(差別発言を)簡単に言ってしまうっていうのは、本当に生きづらいというか。日本で暮らしづらい。

荒井氏、カメラに気づくと陰に…岸田首相が初の謝罪も「言葉だけでは」

荒井氏の発言は、匿名での取材を前提とした「オフレコ」取材でのものだった。しかし一部の社が、荒井氏の「オフレコ」発言に問題があると判断。実名で報道した。

その後、荒井氏は実名を前提とした「オンレコ」取材に応じ、発言を釈明・撤回し、謝罪したが、翌日更迭された。

6日、記者の前に姿を現した荒井氏
6日、記者の前に姿を現した荒井氏

6日午後2時すぎ、首相官邸に、更迭された荒井氏が姿を見せた。

「今日は引き継ぎに」と記者に笑顔を見せる場面も
「今日は引き継ぎに」と記者に笑顔を見せる場面も

荒井元秘書官:
今日は引き継ぎです。

記者が話しかけると、笑みも見せた荒井氏。

しかしカメラに気づくと…
しかしカメラに気づくと…

カメラのほうに視線を向けると、記者の陰に…。

さりげなく記者の陰に
さりげなく記者の陰に

“多様性の尊重”を掲げる岸田政権の中枢から飛びだした、差別発言。野党は猛反発している。

立憲民主党・安住国対委員長:
役人の不祥事とか以上に深刻な話。G7の議長国の日本だけが、LGBTや同性婚の問題で全く時代遅れの話をしていて、恥ずかしい状態。

6日、政府・与党の幹部が集まる昼の会議で、岸田首相は差別発言が発覚して以降、初めて謝罪した。

岸田首相:
政府の方針について、国民に誤解を生じさせたことは遺憾であり、また不快な思いをさせてしまった方々にお詫びを申し上げます。

岸田首相は「お詫び」を口にしたが、清水さんは、岸田首相のこの発言に違和感を覚えたという。

清水展人さん:
マイノリティーとか多様性って言っているけど、言葉だけなんじゃないかと思わざるを得ない。
性的マイノリティーの人の話をぜひ聞いていただいて、考えから改めていただきたい。新しい知識を学んでいただきたいと思います。

松野官房長官6日午後、今後、性的少数者や同性婚をした当事者から、直接意見を聞く場を設ける考えを示した。

(「イット!」2月6日放送より)