新型コロナウイルスの感染者数が依然高止まりする中、懸念されるのが季節性インフルエンザとの同時流行だ。新潟県内では、3年ぶりにインフルエンザの流行期に入った。医療崩壊を起こさないための注意点について、新潟県の医療調整本部で活動する医師の高橋昌特任教授に聞いた。

3年ぶりにインフル流行… 同時流行のおそれ

新潟大学大学院の高橋昌特任教授は、「今シーズンは新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性が高い」と指摘する。

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
新潟県内の今後の見積もりとして、新型コロナの感染者が一日に2000人~3000人、インフルエンザの感染者も一日に2000人~3000人。これが同時に起こることは、一定程度、予想されている

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授
新潟大学大学院 高橋昌 特任教授
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新潟県は1月12日、インフルエンザについて、定点医療機関1カ所あたりの報告数が2・33となり、3年ぶりに流行期に入ったと発表した。(1カ所あたりの報告数が1で流行期入りの目安となる)

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
3年ぶりの流行で、前回から間が空いているので、インフルエンザにかかりやすい状況にある。また、インフルエンザは感染拡大が早いので、このあと1週間・2週間・3週間というスパンで、場合によっては警報、1日に2000人~3000人が感染するレベルに達する可能性がある。インフルエンザに関しても、ワクチンで予防することが感染拡大を抑えるカギとなる

新型コロナの感染者数が高止まりする中でのインフルエンザの流行期入り。そもそも、2つの感染症を見分けることはできるのだろうか?

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
熱が出る・鼻水が出る・せきが出る。消化器の症状も新型コロナとインフルエンザのどちらにも出てくるので、見分けるのは難しいと思う

医療崩壊を起こさないために「自身で見極めを」

症状の似ている2つの感染症。だからこそ、高橋特任教授が懸念するのは、同時流行が招く医療崩壊だ。

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
自身で検査することなく、皆さんが発熱外来に押しかければ、そこで発熱外来は破綻してしまう。自宅に新型コロナの抗原定性キットを常備し、新型コロナであるかどうかを自身で見極めていただきたい

また、冬場は、救命センターが必要となるような、脳血管疾患・心臓疾患・転倒による外傷が増えてくる。

後を絶たない"急を要さない"救急車の要請

一刻を争う患者の命を守るためには、救命センターや救急車を有効活用しなくてはならないが、新型コロナやインフルエンザの軽症で救急車を呼ぶケースは後を絶たないという。

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
例えば、「喉が痛くて食べられない」「水がとれない」ということで、救急車を呼ぶ行動は控えていただきたい。様子を見れば、ほとんどの場合は改善するので、冷静な判断をいただきたい

過度に心配せず「基本的な感染対策」の徹底を

一方、新型コロナとインフルエンザの“同時感染”について、高橋特任教授は「過度な心配はいらない」と話す。

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
新型コロナのオミクロン株やインフルエンザの重症化率・死亡率は、もともと非常に低いレベル。同時感染についてそれほど「危ない」と考える必要はないと思う

冬場は、様々な感染症の流行も懸念される。

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授:
インフルエンザだけではなく、ノロウイルス・ロタウイルス…、色々なウイルスが流行する季節。基本的な感染対策として、しっかりと石けんで手を洗う、アルコール消毒をする、マスクをする、換気をする、距離を保つ。こういった行動を今一度見直していただき、少ない感染者数に抑えて、同時流行が懸念される冬を乗り切っていければ良いと思う

(NST新潟総合テレビ)

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